■高校生になっても変わらないあたたかい絆…『少年アシベ』

 1988年から『週刊ヤングジャンプ』(集英社)で連載された、森下裕美氏の『少年アシベ』は、ゴマフアザラシの赤ちゃんを拾った主人公の小学生・芦屋アシベが繰り広げるちょっと不思議な日常を題材にしたコメディ作品だ。

 4コマ漫画というスタイルでありながら、アシベを取り巻く人間関係や、アザラシのゴマちゃんをはじめとした動物たちが織りなすストーリーが魅力の本作。

 数々のキャラクターが登場するなか、やはりゴマフアザラシの赤ちゃん・ゴマちゃんの人気は絶大で、令和になった現在でもぬいぐるみが作られるなど、時代を経てもなお衰えない活躍を見せている。

 そんな本作だが、2017年より『月刊アクション』(双葉社)で森下氏が原作・構成を務める続編が連載されている。その続編こそ、アシベたちが成長した“その後”を描いた『青少年アシベ』(作画/笑平氏)である。

 当時は小学生だったアシベたちが高校生に成長したあとの物語が描かれており、漫画のスタイルも4コマではなく正式なストーリー漫画に変化した。

 前作からおなじみのキャラが多数登場するのだが、やはり気になるのはアシベとゴマちゃんの“その後”だろう。

 天真爛漫で明るい少年だったアシベ。続編でも性格の良さは変わることなく、成績優秀ではつらつとした青年に成長している。一方、ゴマちゃんは、なんと体が大きくなってしまったために芦屋家で飼うことができなくなり、アシベの祖父が建てた水族館に住処を移し暮らしている。

 容姿や生活スタイルこそ変わってしまった二人だが、その絆は健在で、水族館の水槽のなかで遊泳するシーンがあったりと、前作同様の微笑ましい姿を見せてくれている。

 

 作品のファンであればあるほどに、原作で活躍したキャラクターたちの“その後”の姿、展開が気になってしまうものかもしれない。続編においても、さまざまな立ち位置で活躍するキャラクターたちの勇姿は必見である。

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