■過激なセリフはないものの…ギャップが話題となった『新・風のロンド』

 津雲むつみさんのコミック『風の輪舞(ロンド)』を原作とした、『新・風のロンド』は2006年1月より放送された昼ドラだ。こちらも東海テレビ制作・フジテレビ系列である。本作は1995年に同名の昼ドラ『風のロンド』が森口瑤子さん主演で放送され、好評を得たのち小沢さんが主役となり『新・風のロンド』が制作された。

 大まかなストーリーはこうだ。昭和17年、小沢真珠さん演じる有沢槙は、石橋保さん演じる野代浩二と婚約をしていた。しかし戦争により浩二の兄が亡くなったことで、2人は引き裂かれてしまう。その後、別の所帯で親同士になった2人だが不倫関係になり、火事によって死亡。しかし今度はそれぞれに残された子ども同士が、運命に導かれるように愛し合う……というもの。

 小沢さんは本作で主役の槙と、その娘である野代夏生の二役を演じている。本作ではむしろイジメられる役であり、『牡丹と薔薇』のような過激なセリフはない。

 しかし槙の義姉であり、夏生の伯母を演じた田中美奈子さん演じる野代麻美はすごかった。学校で粗相をした甥っ子に対し、鬼の形相で“ズボンをお脱ぎ!その悪いお尻をお仕置きします”と言い、棒を持って迫る演技などは強いインパクトを残した。

 本作での小沢さんは、昼ドラのなかでもかなりおしとやかな役柄である。そのため『牡丹と薔薇』で演じた激しい香世役とのギャップも、当時取り沙汰されていた。しかし夜叉のような形相で夏生たちをイジメぬく田中さんの演技もあって、本作もやっぱり愛憎渦巻く昼ドラが展開されていた。

 

 小沢さんが出演したインパクトのある昼ドラの数々。2000〜2010年代にかけて独特の世界観を作り上げており、「こんなこと現実にはないよな〜」なんて思いつつもドラマにどっぷりとハマった視聴者も多かったようだ。

 なかでも、『牡丹と薔薇』の人気ぶりは凄まじかった。ここまで話題のドラマになったのは、小沢さんの美しさに加え、高い演技力があったからに違いないだろう。

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