昭和から平成にかけて、お昼の時間を楽しませてくれた「昼ドラ」。数々の名作はあるものの、ドロドロの愛憎劇をインパクトのある演技で楽しませてくれた俳優といえば、やはり小沢真珠さんだろう。
小沢さんが演じた昼ドラといえば、まず昼ドラで一世を風靡した『牡丹と薔薇』がある。さらに『赤い糸の女』、『新・風のロンド』も話題となった。そこで今回は、小沢さんが放ったインパクトのあるセリフとともに、これら3本の昼ドラを振り返ってみたい。
■「役立たずのブタ!」強烈なセリフは社会現象にもなった『牡丹と薔薇』
『牡丹と薔薇』は東海テレビ制作、フジテレビ系列にて、2004年1月から全60回放送された昼ドラである。昼ドラにおいては異例のスペシャル番組が放送されるほど、人気を博したドラマだった。
小沢さんが演じたのは主役でヒロインの香世。そして、もう1人の主役であるぼたん(真世)を演じたのは大河内奈々子さんだ。
2人は出生に秘密があったが、それを知らないまま大人になる。ぼたんは香世のいる野島家の家政婦として働き出すのだが、ぼたんに対する香世のイジメが凄まじく、放送された当時は非常に話題を呼んだ。
まず、香世が言い放つセリフが凄まじい。自分の要望にうまく応えられないぼたんに対して「役たたずのブタ! ぼたんじゃなくてブタよ!」と毒づくセリフはあまりにも有名だ。さらに、ぼたんを跪かせてストッキングを脱がせたり、頬を想いきっりつねったりと容赦ない。
また、西村和彦さん演じる夫・由岐雄の浮気に怒った際には、夕食でなんと“財布”を焼いてソースをかけた“財布ステーキ”を提供するなど、常軌を逸した香世の言動はたびたび話題となった。
現実ではなかなかお目にかかれないほどの“悪女”を演じた小沢さん。当時、その衝撃的なセリフや場面をどう捉えていたのかと問われると、“強烈なキャラクターに衝撃を受けたが、それと同時に「演じてみたい!」という強い思いと興奮を覚えた”と明かしている。
ある意味、エキセントリックな役柄の香世に全力入魂したのが良かったのだろう。小沢さんの持ち前の演技力がここぞとばかりに発揮されており、たちまち社会現象を引き起こすような大ブームとなった。
■「こんなダボハゼ女!」過激なセリフはSNSでも話題になった『赤い糸の女』
『赤い糸の女』は、2012年9月から東海テレビ制作、フジテレビ系列の昼ドラとして全44回放送された。前述した『牡丹と薔薇』で強烈なインパクトを残した小沢さんだが、本作でもまた過激な女性を演じている。
小沢さんの役柄は、本作の主要人物で事故死をする麻衣子の姉・貴道遥香だ。本作でも“男なら誰でも食いつく、こんなダボハゼ女と一緒につるむんじゃない!”といったドギツいセリフを叫んでいる。ちなみに「ダボハゼ」とは悪口にも使われる魚の名称であり、“何でもかんでもガツガツ飛びついてくる行動”を意味するそうだ。
『赤い糸の女』は、女子大の寮に暮らす美容整形クリニック経営者の娘と信州の名家に生まれた娘、新たに加わったルームメイトの女性の3人を中心にストーリーが展開される。訳アリのイケメン男性たちも次々に登場しており、小沢さん演じる遥香とも関係を重ねていくドロドロ展開も見どころだ。
欲望に満ちた愛憎劇が描かれた本作では、それに伴う過激なセリフも話題となった。放送されていた当時はその日放送された「昼ドラ公式の名ゼリフ」が公式SNSで募集されていたのだが、その一部を紹介すると「好きだ、唯美さん! やらせてくれ!」「あたしはビオラ…鳴らして…鳴らして!」といった、あまりにも過激で情熱的なセリフがてんこ盛りだった。
『赤い糸の女』は『牡丹と薔薇』に続き、“これぞ昼ドラ”という世界観を展開したドラマであったと言えるだろう。