■あまりにもシリアスな問題作『るろうに剣心 星霜編』

 最後は、和月伸宏さんの漫画『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』から10数年後の物語が描かれた『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-星霜編』。2001年から2002年にかけて全2巻が発売されたOVA作品だ。

 漫画『るろうに剣心』はこれまでに2度テレビアニメ化され、佐藤健さん主演による実写映画シリーズも大ヒット。そして2017年からは『ジャンプSQ.』にて続編『北海道編』が連載中で、こちらは西南戦争で戦死したはずの薫の父・神谷越路郎が北海道にいるとの情報を得た剣心、薫たちが越路郎との再会のため北海道を目指す物語だ。

『星霜編』は原作の10数年後を描いた作品で、剣心は薫と結婚したが、まだ贖罪の旅を続けていた。この時点でハッピーエンドだった原作、家族とともに北海道を目指す続編とは大きく違う物語になっていることがわかる。物語は帰りを待つ薫が剣心との出会いから『人誅編』までを回想する形で描かれていく。

 OVAを見て驚くのは、そのシリアスさ。アニメ『鬼滅の刃』のキャラクターデザインなどを手がけた松島晃さんによるリアリティのあるキャラクターだろう。原作からも当時のテレビアニメからも大きく違っており、『星霜編』という作品の特徴はこのキャラクターデザインに象徴される。とにかくリアルでシリアスなのだ。ショッキングな描写もあり、ギャグ描写やハッピーな雰囲気はなくなっている。原作やテレビアニメ版が好きな人は驚くかもしれない作品だ。

 今回はあまり知られていないだろう少年漫画の続編を紹介した。どれも一見の価値がある作品だと思うので、原作のファンであれば触れてみてほしい。

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