達也と南は別々の夢を…!? 『タッチ』から『銀河鉄道999』まで「実は物語の続きが描かれていた」人気漫画の画像
少年サンデーコミックス『タッチ』完全復刻版第13巻(小学館)

 2024年の夏アニメとして令和に新たな物語が放送中の『キン肉マン』。ゆでたまごさんによる『キン肉マン』は1979年より『週刊少年ジャンプ』にて連載がスタートした漫画で、1987年の終了後に『キン肉マンII世』の連載を挟み、「キン肉星王位争奪編」のラストシーンから始まる新たな物語として2011年より『週プレNEWS』にて連載が再開。単行本の数、連載期間、ともに連載再開後のほうが長くなっており、放送中のアニメ『キン肉マン 完璧超人始祖編』の盛り上がりとともに、今もなおファンを夢中にさせ続けている。

『キン肉マン』のようなケースはレアだが、連載が最終回を迎えたあと、読切やスピンオフといった形で「物語の続き」が描かれた漫画は少なくない。

■あまりにも有名なラストシーンに続きが?『銀河鉄道999 エターナル編』

 たとえば、松本零士さんのSF漫画『銀河鉄道999』。『999』の結末と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、旅の終わり、鉄郎とメーテルの別れの場面だろう。原作漫画、アニメ、劇場版と細部に違いはあるが、成長した鉄郎とメーテルの隠し切れない想いが描かれたラストシーンはどのバージョンも非常に感動的だ。 

 しかし、この有名なラストシーンは『銀河鉄道999 アンドロメダ編』のラストシーンなのである。正統な続編となる漫画作品、『エターナル編』は松本零士さんによって『ビッグゴールド』で連載された。

 鉄郎とメーテルの別れがラストシーンとして広く認識されているのは、『エターナル編』の連載までの期間が長く空いたことが一因として挙げられる。『アンドロメダ編』の完結が1981年、そして『エターナル編』の連載開始が1996年と、15年もの歳月を経て再度連載された作品なのだ。

『エターナル編』は『アンドロメダ編』から1年後、鉄郎とメーテルが再び999号に乗り、アルテメータ星系にあるというエターナルを目指す物語。今作では、テレビアニメ版や劇場版の要素を逆輸入的に取り入れており、さらに「ハーロック」「クイーン・エメラルダス」など他松本作品からも頻繫にキャラクターが登場する。

 映画作品などで、別々の作品のキャラクターが相互に作品に登場する、世界観を共有する作品群は○○ユニバースと呼ばれるが、『エターナル編』は現代で言うところの松本零士ユニバース的な作品なのである。

 感動的な結末を迎えたアンドロメダ編と対称的に、エターナル編は未完。日本が誇るSFの巨匠が時代に先んじた挑戦の先に生まれた作品と言える。

■『タッチ』の続編はタッちゃんがメジャーリーグに挑戦!? 

 あだち充さんの野球漫画『タッチ』の続編といえば現在も連載中の『MIX』があるが、今回紹介するのは『MIX』ではない。『タッチ』にはアニメオリジナルで制作された、上杉達也と浅倉南のその後を描いた続編があるのだ。

『タッチ』は1981年から1986年まで『週刊少年サンデー』で連載された、高校野球を題材にした青春ラブコメ作品だ。その原作の連載終了、テレビアニメの最終回から10年以上が経った1998年にテレビスペシャルアニメとして『タッチ Miss Lonely Yesterday あれから、君は…』が放送。そして2001年には続編となる『タッチ CROSS ROAD 風のゆくえ』が放送された。

 これはどちらもアニメ独自の物語だ。『あれから、君は…』は最終回から3年後、大学生になった達也と南が描かれており、別の大学に進んだ2人は、高校3年の告白後も恋人になりきれない関係が続いていた。そこにアニメオリジナルキャラクターの水野香織、原作でもお馴染みの新田明男が混ざり四角関係となる。原作よりもややドロドロとした恋愛模様が特徴の作品だ。

 そして『風のゆくえ』では、なんと達也が単身渡米し、メジャーリーグの下部組織であるマイナーリーグで活躍していく。南は新体操をやめてスポーツカメラマンの助手として2人別々の夢を追うという話になっており、漫画とは違う未来を想像させる物語となっていた。

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