1984年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された、鳥山明さんの『ドラゴンボール』には多くの魅力がある。なかでも主人公・孫悟空をはじめとしたお馴染みのメンバーたちが成長し、修行するたびに強くなる姿に興奮した読者も多かっただろう。
しかし本作には命の危機にさらされた挙げ句、もっと自らの体を強くするためにサイボーグ化したキャラもいる。そうしたキャラは生身の体に比べ全身が機械化されたことでさらに強くなったように見えるが、意外にもサイボーグ化したあとのほうがあっさり負けていたりもする。
今回は『ドラゴンボール』に登場する、体を機械化したのにあっさり瞬殺されてしまうキャラたちを紹介したい。
■悟空を苦しめた殺し屋…サイボーグ化しても弟子に一撃でやられる「桃白白」
レッドリボン軍に雇われた、世界一と名高い殺し屋・桃白白。彼は鶴仙人の弟であり、天津飯と餃子の兄弟子に当たる人物だ。
桃白白は『ドラゴンボール』が本格的なバトル漫画になるきっかけとなったキャラクターと言っても過言ではないだろう。それまで悟空の前には多くの敵が登場したものの、残虐に命を奪うようなシーンはほとんどなかった。
しかし桃白白はレッドリボン軍幹部・ブルー将軍のこめかみを舌で刺して瞬殺したり、聖地カリンを守るボラを息子の前で無残に殺したりもしている。当初、桃白白の強さは悟空を上回っており、腹部にドラゴンボールを入れていなかったら悟空も“どどんぱ”で殺されていたほどだった。
そんな桃白白だが、カリン塔で修行を積んだ悟空に後日倒されることとなる。自身が投げた手りゅう弾の爆発によって死んだと思われたが、第23回天下一武道会にてサイボーグ化した体で戻ってきた。
対戦相手の天津飯は悪の道に走る鶴仙人のもとを去っており、桃白白はその恨みもあって天下一武道会に参加していた。
当時はサイボーグ化した桃白白がどれほど強いのかと、おそるおそる読み進めた読者もいただろう。しかし結果はびっくり、天津飯が対決序盤で口にした「わたしはあなたがかんがえているより強くなりすぎてしまったのです…」の言葉通り、お腹へ一撃を受けてあっさりと敗退。
桃白白は悟空と天津飯の2人により、読者を2度スッキリさせてくれた悪役ともいえる。
■地球は終わった…からのまさかの瞬殺「フリーザ」
『ドラゴンボール』でサイボーグになって戻ってきたキャラといえば、フリーザを思い出す人も多いだろう。フリーザは本作のなかでもトップクラスの強さを誇り、孫悟空をあの超サイヤ人にさせたキャラクターだ。
孫悟空との戦いでフリーザは最後自らの攻撃で体を切断した挙げ句、孫悟空の怒りを買って死んだと思われていた。その後地球には1年ほど平穏が訪れたものの、フリーザは自らの体をサイボーグ化し、自分の父親も引き連れて地球にやって来るのだ。
あの強いフリーザがさらなる進化を遂げて来たのにもかかわらず、フリーザに対抗できる孫悟空もいない。そのときにベジータが言った「はっきりいってやろうか? これで地球は終わりだ」のセリフに、多くの読者が絶望したことだろう。
しかしその絶望を一気に転換させたのが、突如現れた謎の少年・トランクスだった。いきなりスーパーサイヤ人になったかと思うと、背中の剣であのフリーザを木っ端みじんに瞬殺。驚きのあまり目を丸くするキャラクターたち同様、当時の読者も何が何だか分からなかっただろう。
フリーザはそれまでドラゴンボール史上最強の敵だった。それなのにあっさりトランクスにバラバラにされるのは、あまりにも衝撃的だった。サイボーグ化した体がどれほど強いのかをお披露目することなく死んでしまったのは、ちょっと残念な気もするが……!?