アニメ『ダンジョンの中のひと』声優・千本木彩花&鈴代紗弓インタビュー「二人で助け合って作り上げた“バディ関係”」の画像
千本木彩花さんと鈴代紗弓さん

 現在、絶賛オンエア中のアニメ『ダンジョンの中のひと』(TBSほか)。地下迷宮「アントムルグのダンジョン」の管理人・ベルと、探索者のクレイがともに力を合わせて、腕に覚えのある探索者が次々とやってくる「ダンジョン」の運営をするというお仕事ファンタジーだ。

 ときにはモンスターたちを働かせ、ときにはルール違反をする探索者を粛清して、「ダンジョン」という場を作り上げていく。まさに“裏方のお仕事”を描いている作品なのだ。クレイ役を演じる声優・千本木彩花さん、ベル役を演じる声優・鈴代紗弓さんが語る『ダンジョンの中のひと』の面白さとは?

 

――『ダンジョンの中のひと』の原作マンガや台本をお読みになったときに、どんな感想をお持ちになったかを教えてください。

千本木 オーディションを受けるときに原作を読ませていただきました。ダンジョン(地下迷宮)の管理人の仕事という、あまり想像したことがないところを広げた、すごくおもしろい作品だったので、どんどん読み進めていくことができました。登場人物は多くないのですが、友だちがいないクレイとベルが仕事を通じて近づいていくというところがすごく素敵だなと思いました。

鈴代 私もオーディションのときに原作を拝見したんですけど、絵がとにかくかわいらしい! カラーの色味も鮮やかで優しい感じになっているんですよね。第一印象はダンジョンの楽しい日々を描いていく感じの物語なのかなと思っていたんですけど、原作を読み進めるごとにベルの底知れないミステリアスな雰囲気や、容赦なく戦ったり物事を判断したりするシビアさみたいなものがあって。優しさと厳しさのギャップに引き込まれて、どんどん読み進めてしまいました。

――千本木さんが演じるクレイという役は、探索者としてダンジョンにやってきた少女です。あらためてクレイという人物に対する印象をお聞かせください。

千本木 私はクレイみたいな役を演じたことがあまり多くないんです。彼女は自分の考えをモノローグでどんどん話していくのですが、彼女がどういうことを考えていたり、どんな目的でダンジョンに潜ったりしているのかを、そのモノローグの中から見つけながら演じています。

 クレイは戦うとすごく強いのですが、戦闘シーンの収録ではアドリブ(※動きに合わせた息遣いなどの演技。アクションの動きに呼吸音をつけると一生懸命戦っているように感じられる)はほとんど入れないようにすることで、彼女の強さを表現しようとスタッフさんと話し合っていきました。クレイはキャストとスタッフ一同で総合的に作っていったキャラクターだなと感じています。

鈴代 最初にクレイ役がポンさん(千本木さん)だと聞いたときに「うわ、ぴったりすぎる!」っていう気持ちになりました。本当に安心感しかないというか。何の不安もなく、ポンさんについていこうと思って、第1話の収録現場に向かったことを覚えています(笑)。

 クレイってとにかくブレない、終始ブレないキャラクターなんですよね。私自身は想定外の出来事が起きたときでも、わりと「そういうこともあるもんなんだな」と楽観的に生きてきた人間だったので、クレイみたいにひとつずつ立ち止まって、疑問点をかみ砕いて進んでいくことがすばらしいなって思って。(クレイには)ひとりの人間として生きていく強さや生命力みたいなものがあるなと。今回、ポンさんのお芝居によって、クレイのブレない強さがアニメーションの中で立体的にできあがっているなって感じています。

――一方、ベルはダンジョンの管理人です。ベルの印象はいかがでしょう?

鈴代 私、実はこれまであまり主人公らしい主人公ポジションをやらせていただいたことがなくて、どちらかというと主人公の周りにいるひとり、っていう立場のキャラクターを担当することがここ数年多かったんです。でも今回、ベルというクレイさんとダブル主人公的なキャラクターを演じることになって、すごくプレッシャーがありました。

 ベルはけっこうセリフ数が多いんですよ。ダンジョンの説明セリフも多いし、そのダンジョンの全てを把握するキャラクターでもあります。なので、その説得力を出すためにも何度も何度も原作を読みました。

 あと、ベルはすごくほわっとしてかわいらしいところがあるので、説明をするときにも、そのほわっとした塩梅をどれくらい入れていくのが良いのか――という部分は悩みました。あまりニュアンスを入れすぎると何か別の意味が生まれてきてしまいそうだったので、あくまでサラッとしようと。最初から答えが全部わかっているみたいな、余裕があるような感じで演じるというのは、これまで自分がやってきていない演技だったので、そこをやるのは難しい部分もありましたね。

千本木 第1話の収録の前に、鈴代さんがいまお話されていたような心配事を気にしていて。「それでも一生懸命頑張ります!」とおっしゃっていたんですよ。でも収録が始まると、音響のスタッフさんからいろいろなディレクションを受けて、すぐにパッといろいろな引き出しをあけて、ベルをちゃんと演じていたんです。だから私としては、ベルに引っ張ってもらっているなと感じていました。

鈴代 いやいやいや~!(笑)

千本木 ベルのかわいらしさとか、強さの塩梅はすごく難しいものだと思いますが、ベルの喜怒哀楽を通じて、クレイと良い距離感を作ってくれたので。私もそのベルのお芝居から受け取ったものを、クレイとして出していくという感じがありました。クレイにとっても、本当にありがたい存在だなと思っています。

鈴代 ありがとうございます! アフレコ現場は少人数でしたし、座席も(千本木さんの)隣に座らせていただいて。「こうやったらいいかもね」とふたりで相談しながら収録できたので、すごく楽しい現場でした。

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