■パンツ一丁で三枚目演技も『シティーハンター』鈴木亮平

 最後に紹介するのは、『シティーハンター』で冴羽獠を演じた鈴木亮平さんだ。

 2024年Netflixで配信がスタートされた、北条司さんの世界的人気漫画を原作とした『シティーハンター』。

 過去には香港版や韓国版、さらにはフランス版の実写化もあったが、本作はやはり新宿で活躍する姿がしっくりくるように思う。

 本作で獠を演じた鈴木さんは、原作のファンであることを公言しており、獠を演じるうえで、自腹で数種類のモデルガンを購入し拳銃の扱いを練習したり、それまでオートマチック限定だった運転免許も獠の愛車ミニクーパーの運転のためマニュアルを取得したりと、徹底した準備のもとで本作に挑んだそうだ。

 その準備のなかにはもちろん肉体づくりも含まれており「筋肉質でもボリュームはつけずに絞った」と、体の再現にも強いこだわりを持って取り組んでいたという。鍛え上げられた肉体で見せたアクションシーンはもちろん、新宿の夜のお店で行ったパンツ一丁“もっこりダンス”といったコメディパートも肉体美があるからこそ非常に素晴らしかった。

 鈴木さんの獠は、始末屋(スイーパー)としてのカッコいい部分だけではなく、三枚目な部分の再現性も非常に高かったように感じる。原作で見られる獠のシリアスさ、コミカルでお調子者なギャップも見事に再現しており、その緩急が本作をより人気作へと押し上げていたように思う。

 原作ファンの多くが認める実写化『シティーハンター』、ぜひこの機会に見てみてはいかがだろうか。

■見事な筋肉キャラを演じた『岸辺露伴は動かない』笠松将

『岸辺露伴は動かない』第4話「ザ・ラン」では、笠松将さんが肉体づくりに取りつかれた男・橋本陽馬役を演じ、そのキャラにふさわしい素晴らしい肉体を披露した。

 2020年から特集ドラマとしてNHKで放送されている荒木飛呂彦さんの人気漫画を原作とした本シリーズは、主人公・露伴役をイメージにぴったりの高橋一生さんが演じていることでも知られている。

 笠松さんは2021年に放送された第4話「ザ・ラン」で、駆け出しのモデル・橋本役を演じた。橋本は事務所の命令で嫌々ジムに通っていたが、このドラマの肝と言える“ある場所”に行ったことをきっかけに肉体づくりに没頭するようになる。そして彼は取り憑かれたように、ついには恋人をはじめトレーニングに邪魔と感じたものを次々と排除していくのだった。

 当時のインタビューで笠松さんは「単純に筋トレしてる時間が好き」と語り、普段から筋トレに励んでいることを明かしていた。本作に出演するにあたっては、人生初の食事制限をおこない、役作りに挑んだとのこと。

 その成果もあって脱衣所のシーンでは圧巻の肉体美を見せ、さらにクライマックスの露伴とのランニング対決は、笠松さんの圧巻の肉体と不気味さが際立つ演技で非常に説得力のある映像となっていた。

 

 今回は、実写化作品で肉体美を見事に披露した俳優を紹介してきた。

 原作漫画も大人気で、演じたキャラにもファンが多い。そんなファンの期待を裏切らないため、それぞれの俳優が入念な準備を重ねており、鍛え上げられた肉体もその一つだった。

 ちなみに筆者もジムで筋トレに励む一般市民の一人だが、ここまでの筋肉を作り上げるのにどれだけの努力と時間が必要かくらいは分かる。今回紹介した俳優たちは、それだけ強い意志を持って役に挑んでいたと言えるだろう。

  1. 1
  2. 2
  3. 3