■いまなお色褪せない衝撃…第44話「子供は見ちゃダメ、禁断の怪談・百物語 」
この話に関しては、私自身、もう一度観たいと思えないほどだ。ホラー耐性は強いほうだが、この話に限っては昔の衝撃が脳裏にこびりついてしまっている。
百物語というタイトル通り、生徒たちによってごく短い怪談が次々に披露されていく話である。しっかりと怖い話もあれば完全にギャグでしかない話もあるが、その中でも細川美樹が繰り出す怪談は、ずば抜けて恐ろしく描写されている。
美樹は夕暮れの校庭の中で、ある女の子に声をかけられる。「ブランコどこ?」「うんていはどこ?」と遊具の場所を聞いてくるものの、答えた瞬間にその子は遊具へ移動して遊んでいる。気味悪く感じた美樹は「すべり台どこ?」と聞かれたときにたまらず「屋上よ!」と答える。するとその女の子は不気味な笑みを浮かべ、屋上へとのぼっていく……。
文字にすると伝わりにくいかもしれないが、この一瞬の怖さがあまりにも強烈。「子供は見ちゃダメ」というタイトルの意味も“観ればわかる”。 この衝撃を、一度見て味わってほしい。
■当事者意識でよけいに怖い…!OVA「なぞなぞ七不思議ブキミちゃん 」
クラスの中で「ブキミちゃん」の噂が伝わり始める。彼女は夢の中に現れ、大切なハーモニカを取ってこいと言うのだ。赤い門を潜って、左から2番目の扉に入り……と複雑な道順を覚え、ハーモニカを取ってこなければ魂が引き裂かれてしまう。そして、この話を聞いた人の夢には、3日以内にブキミちゃんが現れる。
映画『リング』に代表されるような伝播系のホラーは数多く存在する。前述の「しょうけら」と同様に、自分の身にも起こるかも……という話は、特に小中学生には耐えられない怖さがあった。
それに加え、ブキミちゃんから解放されるためには、いくつもの複雑な攻略法を覚えなければいけない。見た目の怖さも相まって「寝る前に覚えなきゃ」という焦りはさらに恐怖心を掻き立てた。
『ぬ~べ~』のトラウマとして必ず名前が上がるブキミちゃん。その評価に誰もが納得する人気回だ。
さまざまなトラウマを生み出してきた『地獄先生ぬ~べ~』だが、実はホラーだけでなく恋愛関係や人間関係も複雑に描かれている。
「人の心が妖怪を創り出す」のテーマのもとに描かれた物語というだけあって、ただ「怖い」だけでは語りきれないのも『ぬ~べ~』の魅力の一つだ。新アニメ放送を控えたこの夏に、旧アニメ版を納涼ホラーとして楽しんでみるのはいかがだろうか。