この世には、目には見えない闇の住人たちがいる―― 。そんなおどろおどろしいナレーションから始まり、当時の子どもたちを震え上がらせたアニメ『地獄先生ぬ~べ~』。原作漫画の連載開始から 30年以上経っても愛され続ける本作が、2025年に新作アニメ化されることが発表された。
子ども向けの作品でありながら、当時の視聴者が大人になった今でも「怖くて観返したくない……」と言われるほどの“トラウマ製造機”でもある本作。1996年から97年にかけて放送された旧アニメ版は映像演出も相まって、トラウマ回と呼ばれるものが数多くあった。
今回は、そんな旧アニメ版の「最恐トラウマ回」を振り返っていこう。
※本記事にはアニメ『地獄先生ぬ~べ~』のネタバレが一部含まれています。未視聴の方、気になる方はご注意ください。
■序盤との落差にゾクッ…!第5話「学校の七不思議・魔の13階段 」
この話の主人公は、クラス1の不良・木村克也。13階段の噂を聞きつけた生徒と階段を検証していたところ、ぬ~べ~に見つかってしまう。「魔の13階段は悪い子にしか見えない」と言われ、不良の克也は13階段を気にかけるようになった。そんなある日、克也は自分と同じく不良らしき生徒と出会う。
『ぬ~べ~』らしくギャグも満載の回だが、だからこそ怖い場面が出てきたときの落差が激しく印象が強く残る話でもある。
序盤は「地獄保父さんぬ~べ~」といったセルフパロディギャグなどが盛りだくさんで、13階段についても「学校の七不思議なんてこんなもんだよね~」といった軽いテイストで話が進む。ただのほっこり回かと思いきや、克也が不良らしき生徒と出会ったことがきっかけで、じわっと嫌な空気が漂い始める。
克也は言われるがまま不良仲間の溜まり場へ向かうが、それには13階段を通らなければいけない。不穏な空気のなか階段を進む克也。我慢できず後ろを振り返ると、そこには首が90度に折れた不良生徒が――。
じわじわと濃縮されていく重い空気と、“溜め”の末にある爆発的な絵面の怖さで驚かせてくる13階段。階段という狭苦しい空間で発生するホラーは、いつの時代も恐ろしい。
■じわじわ効いてくる恐怖…第33話「しょうけらが窓からのぞく! リツコ先生最大の危機!! 」
隣のクラスの担任・律子先生の生徒である風間は、サッカー部の帰り道でおかしな影を見る。その影は、ある民家の屋根の上で踊るように手足をばたつかせていた。風間がその存在に気付くと、すぐさま姿を消す影。翌日、その家では葬式が挙げられていた。
さらに後日、風間はその影を写真におさめようとするが、するとそいつは目と口を吊り上げて薄気味悪くニヤリと笑い、再び消えてしまった……。
疫病神「しょうけら」自体はよくいる妖怪の類だが、この話の恐怖ポイントは“薄暗い帰り道の屋根の上にいる”ということ。
日常風景の中に恐怖の対象が映し出されると、普段生活する景色の中にその存在を思い出してしまうものである。放送後は、全国に「屋根を見られない子ども」を多数生み出してしまった……なんていう逸話もあるほど。それほどに、薄笑いする「しょうけら」の姿は気味が悪く描かれていた。
この現象は、ネット上でもよく語られる「てけてけ」の怖さに通ずるものもある。こういった類の話は大人になっても不意に思い出してしまい、じわじわと効いてくる。