2024年11月14日に発売が決定したHD-2D版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』。1988年にファミリーコンピュータ用ソフトとして発売され社会現象を起こした同作は、アリアハンで生まれた勇者が魔王討伐の冒険に出かけるというストーリー。勇者はアリアハンの城下町でさまざまな職業から最大3人の仲間を選んで旅をすることになるが、ひたすら物理攻撃を行う「戦士」「武闘家」や、回復に必須な「僧侶」に比べると、呪文を使うのに慎重になってしまう「魔法使い」はパーティ優先度が低くなりがちだったのではないだろうか。
最近でこそ「まほうの小ビン」のようなアイテムやスキル、また杖攻撃での吸収など、MP回復の手段が多数用意されているが、ファミコン時代の『ドラクエ3』にはほとんどなく、通常の戦闘でMPを浪費するような行動はなかなかできなかった。
今回は、MPを節約しながら戦っていた子ども時代を思い出しつつ、大人になった今なら「魔法使い」をどのように活用できるのかを考えてみたい。
■MPを温存していたあの頃
昔の『ドラゴンクエスト』シリーズでは、MP枯渇を恐れて、ダンジョン内で呪文を使うのが怖かったという人は多いだろう。そのため、ボス戦が控えている可能性が高いダンジョン内では、魔法使いは呪文の使用を控えていた。結果、魔法使いはダンジョン攻略中においては、専門の呪文を唱えることをせず、ぷすっと一撃必殺を期待して「どくばり」での攻撃を行うぐらいが関の山だった。
また、スーパーファミコン版『ドラクエ3』では、「とげのむち」などのグループ攻撃が可能な武器が導入され、これにより戦士や盗賊でもグループ攻撃ができるように。その結果、魔法使いの存在感はますます薄れてしまい、どうしてもパーティ編成の優先度が低くなってしまった。
さらに『ドラクエ』シリーズには、序盤の呪文は非常に効果的である一方、中盤以降になるとその立場が微妙になるという「あるある」がある。たとえば、『ドラクエ3』では、序盤で使用する「メラ」「ギラ」「ヒャド」「イオ」などの呪文は、敵を一撃で倒したり、致命傷を与えたりすることも可能だ。しかし、中盤以降になると敵のHPがタフになり、「ベギラマ(消費MP6)」や「ヒャダルコ(同じく消費MP6)」といった中級呪文でも、敵を倒すのに2〜3発必要になることが多くなる。
さらに厄介なのは、中盤以降になると「耐性」を持つ敵が増加すること。これにより、ただでさえ微妙なダメージがさらに減少し、呪文の効果がいっそう薄れてしまう。
そんなわけで、魔法使いの立場はますます低下。やはり、ひたすらぶん殴れる戦士や会心の一撃に期待できる武闘家のような物理攻撃特化のパーティに頼ることが増えていった。
■攻撃呪文だけじゃない「補助」も使える魔法使い
とはいえ、ここまで魔法使いの微妙な立場について述べてきたが、実際には「攻撃呪文だけが取り柄」ではなく、魔法使いの補助呪文の有用性は計り知れない。
たとえば、「バイキルト」は魔法使いが覚える重要な呪文で、味方の1人の攻撃力を倍にする効果がある。ボス戦では必須と言えるほど強力な呪文だ。
そして、守備力を上げる「スカラ」や「スクルト」も重要な補助呪文。『ドラクエ4』以降のシリーズでは僧侶系キャラが覚えるイメージの強いこれらの呪文は『ドラクエ3』では魔法使いが習得できるため、パーティの防御面でも貢献できる。「スクルト」で守備力を上げて、「バイキルト」をかけて殴るという誰もがする戦法を確立したのが『ドラクエ3』の魔法使いだ。
さらに、子どもの頃は、覚えたての呪文ばかり繰り返していた。あまり意識しなかった「耐性」についても、大人の今では重要性を理解したうえで、「この敵には何が効く」「どんな耐性があるのか」を見極め、それに応じて効果的な攻撃呪文をチョイスできるようになっているはずだ。