■「2号機は奪われる」伝説はこいつから始まった…!

 最後はOVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』の「ガンダム試作2号機」だ。ガンダム強奪劇の象徴的存在であり、そのジンクスを確立した機体といえる本機。同作第1話のサブタイトルが「ガンダム強奪」と、すでにネタバレ全開である。

 この試作2号機は「戦術核」を搭載した特殊なモビルスーツ。その機動力で敵陣深くに切り込み、核を打ち込み制圧する、条約違反の恐るべき機体だ。ある意味、絶対に奪われてはいけない試作2号機は、トリントン基地で核弾頭を積んだタイミングで旧ジオン公国軍の残党勢力であるデラーズ・フリートのエースパイロット、アナベル・ガトーに強奪されてしまう。

 奪われた2号機の追撃にはガンダム試作1号機が出撃するが、主人公コウ・ウラキとガトーの実力差や、戦力の不十分さも相まって、結局デラーズ・フリートの元に持ち去られてしまう。

 この強奪劇が引き金となり、南極条約違反の口実やコンペイトウ宙域での核発射テロという未曾有の事態が引き起こされ、連邦軍にとっては大きな痛手となった。

 最終的にガンダム試作2号機は、コウが操るガンダム試作1号機フルバーニアンとの交戦の末、ソロモン宙域で相討ちとなり、大破・放棄されることとなる。

 ちなみに、この試作2号機のセキュリティについてはファンの間でも「ガバガバじゃないか?」という声が多い。

 いくら内通者がガトーを手引きしたとはいえ、「格納庫に警備員不在でスルッと入れる」「すぐ使うわけでもないのに核弾頭を搭載」「誰かの承認コードもなしにこんな危険な代物を動かせる」と、いささかずさん過ぎる気もする。

 擁護するなら、条約違反の機体だったために、あまり大規模なセキュリティを付けるのは難しかったのかもしれないという点だろうか。

 以上、歴代『ガンダム』シリーズより、奪われてしまった代表的なガンダムたちを振り返ったが、今回紹介した以外にも、強奪されたり、成り行き上持ち逃げのような形になったガンダムは枚挙にいとまがない。そのあとの物語のうねりを作る、『ガンダム』の名シーンばかりだ。

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