2021年の「ドラクエの日」に発表されてから3年が経過し、続報がなかなか出てこなかった中でとうとう2024年11月14日に発売されることが決まったHD-2D版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』。
制作発表のとき、筆者は「まあ、ドラクエ3はめちゃくちゃプレイしたし、リメイクは嬉しいけど、ドラクエ12とかの新作のほうが楽しみだな……」という気持ちでした。
『ドラクエ3』の魅力と言えばストーリーはもちろん、さまざまなルートやアイテムを駆使したクリアまでの工程の自由度。誰が何回やってもいろんな新しい発見があるような、その世界の懐の深さでした。
その面白さゆえに、『ドラクエ3』を複数回に渡ってプレイしたという人も多いでしょう。1988年にファミコンで発売されたゲーム作品が、今なおシリーズ最高傑作と呼ばれるほどの人気を誇っていることがその魅力を裏付けています。
だからこそ、「HD-2Dで映像がきれいになる!」と言われても、ナンバリング最新作である『ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎』が発表されたこともあり、正直なところ「まあめちゃくちゃやったし、楽しみだけど……新作ほどではないな」という気持ちが多少なりともありました。
ところが今回、発売日の発表の際、同時に「1・2のHD-2Dの発売が2025年に控えている」という情報も届きました。ここでそこまでテンションが上がっていなかった筆者も、その認識を改めなければならないかもしれないと思い直しました。
今回はドラクエファンであるにも関わらず『ドラクエ3』のリメイクに大興奮はしていなかった筆者が、今になってなぜ猛烈にテンションが上がっているのか、その理由について話していこうと思います。
■これまで「オチ」だった部分が「フリ」になる
『ドラゴンクエスト』はこれまでシリーズのナンバリングとしては『1』から『11』までが発売されています。当然それらは、数字の若い順番に発表されています。
しかし、今回のリメイクは『3』から作られることになります。
そして、堀井雄二さんは発表時に「『3』→『1』→『2』の順番でプレイしてもらうと、あっと驚く展開が待っています」と語っていました。
つまり、『ドラクエ3』をクリアしたことがある人にとっては当然の事実である、あの大穴を落ちた後の景色が「オチ」ではなく「フリ」として使われるわけです。
筆者は、これらの事実の重大さにようやく気付き、「リマスター」ではなく「リメイク」であることにめちゃくちゃテンションが上がりました。初めにこの一報を聞いたときには、「すごろく場あるのかな」「GB版のモンスターメダル収集とか追加されるのかな」といった程度のことしか想像できていませんでした。それしか思考が回っていなかったんです。
しかし、もしリメイクでこの今回のHD-2D版の『3』が「フリ」として作成されるのであれば、ロト三部作のストーリーが時系列順に描かれるようになるのです。
だいたいの作品は続編が作れるのかどうかは分からないまま、作品が作られていくものであり、「前作の情報に齟齬が生まれないように辻褄を合わせる」という作業がどうしても生まれてしまいます。
ところが今回は大枠が完全に決まっていて、もうすでに多くのファンがすべてを知り尽くしている作品。「齟齬が生まれる」ということはありません。もうすでに決まっているため、あとから辻褄を合わせる必要がないのです。
つまり、今回の『3』では、続いて発売される予定である『1』と『2』に向けた「新たな伏線」が張られる可能性が非常に高くなったんです。