1973年から20年にわたって放送されてきた『ひらけ!ポンキッキ』(フジテレビ系)が大幅リニューアルされ、1993年にスタートした子ども向け番組『ポンキッキーズ』(同)。
看板キャラのガチャピンとムックは続投し、新たにPちゃん、ジャカジャカジャンケンのコニーちゃんなどキャラクターが登場。さらに、安室奈美恵さんと鈴木蘭々さんがウサギの耳をつけたユニット「シスターラビッツ」としてレギュラー出演した時期もあった。爆笑問題による「爆チュー問題」が誕生したのもこの番組からで、各界の著名人が多く出演していたのだ。
番組内には様々なコーナーがあったが、中でもアニメ『学校のコワイうわさ 花子さんがきた!!』が一際印象に残っているという人も少なくないはず。1話5分ほどのショートアニメで、1994年に『ポンキッキーズ』内の1コーナーとしてスタートした。
主人公の花子さんは、「トイレの花子さん」をモチーフとした、おかっぱ頭に赤いスカートを履いた、色白で目つきの悪い闇の世界の女の子。その見た目から怖い存在のように思えるが、基本的には人間に味方してくれ、困ったときは相棒のホワホワとともに助けにきて、悪い幽霊を退治してくれる。
同作は人気シリーズとなり、2010年には『ポンキッキーズ』の番組内ではなく別番組で新シリーズ『学校のコワイうわさ 新・花子さんがきた!!』が、2014年には続編も放送されていた。
そんな、『学校のコワイうわさ 花子さんがきた!!』第1シリーズ全35話の中には、大人になった今でも忘れられないエピソードがいくつか存在する。中には子どもの心にあまりにも大きな衝撃を残した内容も。今回はそんな強烈なトラウマ回を紹介したい。
■便器から顔を出す衝撃度大なビジュアル
まずは、「太郎くんと次郎くん」。これは、主人公の次郎くんが学校の古いトイレで用を足していると、個室から「遊ぼうよ」という少年の声が聞こえてくるというストーリー。次郎くんが声のする便器をのぞき込むと、和式便器の中から太郎くんという幽霊の顔が現れる。太郎くんはそのまま便器から出てきて、次郎くんに「遊ぼう」と迫る……。
話自体はありきたりな怪談でそこまで怖くないのだが、この回の恐怖ポイントは太郎君の見た目のインパクトの大きさ。太郎君の頭は体の大きさに対してあまりにも大きく、その笑顔もどこか違和感を感じるようなコワさがある。
筆者は当時、テレビを見ながらそのビジュアルにびっくりして飛び上がってしまった記憶がある。しばらくは便器から顔が出てきたらどうしよう、という不安に苛まれたものだ。大人になった今なら、むしろ笑ってしまいそうな内容ではあるが、子どもにとっては怖くて仕方ないものだった。
続いては「赤い靴の女の子」。公園にある銅像が、赤い靴を履いた女の子が通ると「赤い靴ちょうだい」と言いながら追いかけてくるという話だ。
花子さんは基本的には人間の味方で幽霊から我々人間を守ってくれるのだが、この話は花子さんが助けてくれず、犠牲者が出る話である。『学校のコワイうわさ 花子さんがきた!!』にはいくつかそういったパターンがあり、この話は花子さんの、「銅像の女の子は一人ぼっちで寂しかったのだ」という推測で終わる冷静なストーリーテラーぶりにツッコまずにはいられなかった。