パリ五輪でのTEAM JAPANの快進撃に歓喜するなか、昭和生まれの筆者がふと思い出したのが、『キン肉マン』に描かれた「超人オリンピック」のことだ。
シリアスなプロレス格闘路線に突入してからの『キン肉マン』の人気、盛り上がりは凄まじかったが、序盤のギャグ路線からシリアス路線への過渡期に描かれた「超人オリンピック」も読者に強烈なインパクトを残した。
超人オリンピックとは、世界一の超人を決めるために開催された競技会のこと。作中、全世界に向けてテレビ中継が行われ、現実の五輪同様に注目を集めていた。なお、漫画『キン肉マン』では、その第20回大会、第21回大会の模様が描かれ、日本代表のキン肉マンが2大会連覇を達成している。
そして、この超人オリンピックがおもしろかったポイントのひとつに、「奇抜すぎる競技種目」が挙げられる。そこで、個人的に作者のゆでたまご先生の発想力に驚かされた、衝撃的な競技種目を振り返っていこう。
■月への往復マラソン
超人オリンピック第20回大会の最終予選の競技種目が「月への往復マラソン」だ。マラソンと名づけられているが陸上を走るわけではなく、空を飛んで月まで行き、再び日本の国立競技場まで戻ってくるという競技である。
超人オリンピックらしいスケールの大きさを感じさせる競技内容だが、空を飛ぶのが苦手な超人には「ジェット噴射機」を用意してくれるという謎の配慮が新鮮で、逆におもしろかった。
なお、オナラで空を飛ぶキン肉マンは、スタートから大きく出遅れながらも、月でキン骨マンに手渡された爆発物が功を奏して、結果的に決勝進出を決めている。
■恐怖の火炎地獄50メートル力泳
超人オリンピックの第21回大会「ザ・ビッグファイト」の第二次予選の種目は、「恐怖の火炎地獄50メートル力泳」と名づけられた水泳競技だ。
水の代わりにガソリンが張られたプールで、50メートルを泳ぎ切るというもの。しかも、スタートから5秒後にガソリンプールに火がつけられ、炎に飲みこまれる前に泳ぎきらないと焼け死んでしまうという過酷さだ。
なお、ガソリンのプールに点火したら爆発するのでは?……などという野暮なツッコミは、『キン肉マン』においては不要だ。
ちなみにこの競技では、プールで焼死する超人が続出。「ウナギマン」「サザエキング」「イカデビル」「ザ・ダンシャク」が焼け焦げた姿を見て、解説者が「うまそうですな」とつぶやくシーンは、とてもシュールで忘れられない……。