■かめはめ波が効かない天津飯
本作で数多く登場する必殺技といえば、やはり「かめはめ波」だろう。しかし初期設定において、かめはめ波が効かない人物がいたことをご存じだろうか。それが天津飯だ。
第22回天下一武道会にて、ヤムチャがかめはめ波を天津飯に繰り出した。しかし受け身のポーズを取った天津飯は、それを跳ね返すのである。その後、亀仙人も“天津飯はかめはめ波そのものが効かんのじゃ 大小関係なくな”と、解説している。
ただし、この設定は悟空がまだ子どもだったころの話であり、当時のかめはめ波は全員まだ威力自体が小さいものと推測される。のちの威力抜群のかめはめ波を天津飯が跳ね返せるのかは微妙なところであるが、どちらにせよ、当時、彼がいかに強い設定で登場したキャラかを物語る設定であろう。
■悟空の初期の得意技は「ジャン拳」
悟空の得意技というとかめはめ波や界王拳、元気玉などがあるが、初期は違った。初期の悟空における得意技はグーで打撃攻撃、チョキで目潰し、パーで張り手をする「ジャン拳」である。
「ジャン拳」は意外と多く登場しており、一番最初に登場するのが「其之三 悟空・海へ走る」で、巨大なクマのような敵と戦うシーンである。その後、ヤムチャとの対決でもジャン拳で攻撃し、天下一武道会で亀仙人扮するジャッキー・チュンとの戦いでもジャン拳で苦しめている。
このように初期のころ、ジャン拳は間違いなく悟空の得意技であった。しかしそのあと、手からエネルギーを放つかめはめ波を体得してからは、ジャン拳の出番はなくなってしまった。大人になり凄まじいパワーを身に付けた悟空が、もしジャン拳を繰り出したらどうなっていたのかも見てみたいものである。
このように、『ドラゴンボール』が始まった当初はちょっと意外な設定も多かった。
漫画は物語が進むにつれその内容に沿った展開になるのが当然だが、この初期の設定が続いていたらどのようなストーリーになっていたのだろう。もしジャン拳しか出せない悟空がいたら? 舞空術は鶴仙人たちしか使えない技だったら? そんな設定のドラゴンボールを想像してみるのも、面白いかもしれない。