■『NARUTO』誰もが不可避のおいろけの術?
最後は、岸本斉史さんによる『NARUTO-ナルト-』(集英社)でのナルトの戦いを振り返っていこう。ナルトオリジナル忍術の代表といえば「おいろけの術」である。
「おいろけの術」は、ナルトがセクシーな女性に変化して相手の動揺を誘い、隙を作るというものである。命懸けで戦う忍には通用しないと思われるかもしれないが、そんなことはない。イルカを始め、エビスや三代目火影のヒルゼン、自来也などがこの術に引っかかっている。
自来也に至っては、ある意味ナルトが弟子入りできたのはこの術のおかげといってもいいだろう。それが最強忍術のひとつである螺旋丸の習得につながったと考えると、なかなかあなどれない。自来也は分かりやすくスケベなせいで、完全にナルトの手のひらで踊らされていた感もある。またエビスはこの術のせいでむっつりスケベ扱いされており、食らった忍の末路は悲惨だ……。
そして、この術の上位互換に「ハーレムの術」や「逆ハーレムの術」というものもある。特に驚いたのが、大筒木カグヤとの最終決戦でナルトが「おいろけ逆ハーレムの術」を使用したことだ。
この術を使用すると、カグヤの周りを美男子たちが取り囲む異様な光景が広がり、さすがのカグヤも動揺していた。ラスボスにこんな術を使用したうえに、しっかり効いていたのが笑える。カカシはモノローグで「意外性ナンバーワン! まさかナルトのこのエロ忍術が世界を救うことになるのか!!!」と語っていたが、「そこ褒めるところじゃない!」と突っ込んでしまいそうになった。
今回は、お色気系の迷勝負を振り返ってきた。バトル漫画にはシリアスな勝負だけではなく、笑ってしまいそうなものもあるからこそ、目が離せないのだ。