■現代にまで受け継がれる少女漫画のホラー作品
読切漫画ではないが、過去には長期連載作品の中でもトラウマ級の印象に残る作品があった。『ちゃお』にて1991年から1995年まで連載されていた、あらいきよこ氏による『アリスにおまかせ!』がそうだ。
同作は、主人公の二階堂アリスが不思議な水晶を拾ったことをきっかけに予知夢を見るようになるところから物語が始まる。そしてアリスは、気になる存在である小野寺克巳の幼馴染・さやかの持つアンティークドールのキャサリンに付け狙われることとなってしまう。
あらすじだけを見るとややファンタジーな物語のように感じるが、呪いの人形よろしく恐ろしい形相のキャサリンに命を狙われ続ける展開は、少女にとっては怖すぎる。キャサリンはときに裂けたような大きな口で襲いかかってきたりと、あらゆる方法で主人公を苦しめる。
物語は全10巻で、ストーリーが進むにつれて悲しいキャサリンの過去も明らかになるのだが、この作品をきっかけに人形が怖くなってしまったという人は少なくないだろう。
さてここまで90年代の少女漫画の印象的なホラー作品を紹介してきたが、令和の現在も少女向けホラー漫画というジャンルは健在。『ちゃお』の漫画がネット上で楽しめる『ちゃおプラス』では、様々な読切作品を楽しむことができる。
3300万PVを超え話題となった、いじめを題材とした岬かいり氏の『笑顔の世界』や、かわいらしい魔法少女ものかと思いきや、キラキラの絵柄に反した突然の劇画調のホラー展開の落差、さらには私欲にまみれた魔法少女たちの愚かさが到底子ども向けとは思えない真山リコ氏の『魔法少女ミーミ☆マジカルドリーム』など、大人が読んでも楽しめる作品が満載だ。
いつの世でも、トラウマの原点はどこに転がっているか分からない。