『ガンダム』の世界では、数多くの女性パイロットが登場する。そのなかにはニュータイプとして高い素養を持つ人物もいて、ストーリー上で重要な役割を担うことも多い。
宇宙世紀の『ガンダム』シリーズは、戦争を背景に描かれた物語であり、アムロやカミーユといった主人公たちが、女性パイロットと対峙する場面も少なくなかった。
そして彼らのようなエース級のニュータイプパイロットに匹敵する、巧みな操縦技術を披露した女性パイロットもいる。そこで今回は、激戦のさなかで神がかった操縦をみせた女性パイロットたちを振り返っていこう。
■アムロがいなかったら宇宙艦隊は壊滅?
桁外れのニュータイプ能力を持っていた少女といえば、『機動戦士ガンダム』に登場する「ララァ・スン」だ。パイロット経験が浅いうちから、最初期のサイコミュシステムを用いて多大な戦果を挙げている。
ララァは、モビルアーマー「エルメス」に乗り、超長距離からビットによる攻撃を敢行。自機の姿すら見られることなく、連邦の艦艇を次々と撃破し、「ソロモンの亡霊」と恐れられた。もしアムロが彼女の存在に気づかなければ、連邦軍はそのまま大きな被害を出し続けていたかもしれない。
その後ララァは、アムロのガンダムと直接対決することになるが、ニュータイプとして覚醒したアムロと、ほぼ互角の戦いを繰り広げている。あの頃のアムロと互角に渡り合えただけでも、とんでもないことなのは視聴者が一番知っているだろう。
それも近距離戦でやり合えたこと自体、スゴ腕の証なのだが、実はエルメスは想像以上に巨大なモビルアーマーである。全高47メートル、全長は85メートルの巨体を駆って、ガンダムの攻撃を機敏に回避していたのだから本当に大したものだ。
■ニュータイプの強者たちがひしめくなかで輝いた女帝
『機動戦士Zガンダム』『機動戦士ガンダムZZ』に登場した「ハマーン・カーン」も優秀なパイロットとして知られる人物だ。
前述のエルメスの発展機である、ニュータイプ専用の試作モビルスーツ「キュベレイ」に乗り、エゥーゴとティターンズが激突するグリプス戦役に介入。カミーユやクワトロ、シロッコといった名だたるニュータイプたちと互角以上に渡り合った女性だ。
当時は、高出力武装を有するモビルスーツが多かったが、キュベレイの武装はファンネルとビームガン、ビームサーベルと、ニュータイプ専用機としては比較的オーソドックスなものだった。
そんなパイロットの実力が如実に現れそうなキュベレイで、カミーユのZガンダム、クワトロの百式、そしてシロッコのジ・Oなどと交戦し、グリプス戦役では撃破されることはなかった。
その『Zガンダム』の最終話では、Zガンダムにファンネルでの攻撃をしかけ、カミーユを動揺させる場面も。その後ハマーンは、ファのメタス、クワトロの百式の攻撃も軽く回避している。
さらに百式との戦闘になり、クワトロはキュベレイを廃艦に押しこんでサイコミュ兵器が使えない状況を作ったが、ハマーンは事前に展開させていたファンネルで冷静に対応。自機を損傷させることなく、百式の残っていた手足だけを正確に狙い撃つ、まさに神がかった射撃を行った。
続く『機動戦士ガンダムZZ』ではモビルスーツのさらなる大型化、大出力化が主流になるなか、ハマーンは、なおもキュベレイに乗り続ける。
その最終局面において、ジュドーのZZガンダムが放った大出力ビーム「ハイ・メガ・キャノン」が直撃しながら、ハマーンは自身のニュータイプ能力で形成した「サイコ・フィールド」によって耐え抜くシーンも衝撃的である。
結果的にジュドーのZZガンダムに敗れはしたが、『Zガンダム』の時代から乗り続けたキュベレイで、ほぼ相打ちの状態まで追いこんだのは、ハマーンのニュータイプ能力と、卓越した操縦技術があってのものだろう。