■だるそうなまなざしに違わない驚異の能力とは…ヤメタランス
怪獣がもたらす被害といえば、なにも物を破壊することばかりではない。ときには地球に暮らす人々の精神を、思わぬ形で乱してしまった怪獣も登場している。
『帰ってきたウルトラマン』の第48話「地球頂きます!」に登場した怪獣・ヤメタランスは、あまりにも独特な方法で人々を苦しめた怪獣だ。
触角と大きな耳が生えた頭部に緑色の肉体に、大きく垂れた独特の“目”を持つヤメタランスは、もともとは宇宙人・ササヒラーによって地球に連れてこられた宇宙生物だ。最大の特徴といえば、その体から放たれている“放射能”だろう。この放射能は浴びた人間をなんと怠け者にしてしまう性質があり、感染した人は途端に「やーめた」と口にし、すべてを投げ出してしまうのである。
たちの悪いことに、この放射能はウイルスのように人から人へとすぐに感染していき、一般住人はもちろん、防衛組織・MATのメンバーですら極度の怠け者になり、機能しなくなってしまった。
それはウルトラマンも同様で、郷秀樹が変身し、ヤメタランスとの戦闘に入ったものの、いつもの力は出しきれず。それでも、なんとか小型化に成功して、宇宙へと送り返すのだった。
ちなみにこの“怠け者”になる放射能だが、本来、怠け者だった人間が浴びると逆の効果があるらしく、ヤメタランスが入っていたカプセルを拾った少年・勝は“怠けることを怠けた”結果、頑張り屋の性格に変貌していた。
どこかコミカルでシュールな展開が満載なエピソードだったが、よく考えてみれば、人のやる気をそぎ落とし無力化する恐ろしい怪獣であるといえるかもしれない。
個性豊かな怪獣たちも『ウルトラマン』シリーズの見どころの一つだが、ときには今回紹介したような“ギャグ回”が挟み込まれ、子どもたちを大いに驚かせた。
コミカルに、ときにシュールに……普段とは一風変わったエピソードの数々を、ぜひ自身の目で確かめてみてほしい。