『ウルトラマン』シリーズを見ていた昭和の少年時代。ウルトラマンと怪獣たちの戦いに心躍らせていた一方で、ときにうろたえ、ときにビシッと決める大人たちの人間ドラマを観るのも楽しみのひとつでした。
そしてドラマパートに欠かせない存在だったのが、防衛チームの隊員として、あるいは主人公の恋人として登場した美しきヒロインたちです。
多くのウルトラヒロインが、主人公に寄り添う重要な役割を担っていましたが、昭和の『ウルトラマン』シリーズでは、そんなヒロインが突然番組から「退場」してしまうこともありました。
そこで今回は、当時のチビッコたちをがく然とさせた、ウルトラヒロインとの衝撃的な別れのシーンを振り返ります。
■郷秀樹の恋人・坂田アキを襲った非道な行為
最初に紹介するヒロインは、『帰ってきたウルトラマン』の主人公・郷秀樹の恋人である坂田アキです。とてもチャーミングな女性で、アキの兄であり、郷の理解者でもある坂田健も公認の仲でした。
しかし、第37話「ウルトラマン 夕陽に死す」の回で、突然彼女に悲劇が訪れます。ウルトラマンを倒すために策略を巡らせていたナックル星人は、郷秀樹のウィークポイントとして恋人の坂田アキに目をつけたのです。
人間に化けた複数のナックル星人によって、いきなり車に拉致されたアキ。彼女を助けようとした兄・健はその車にはね殺され、走行中の車から逃げ出したアキの体が、そのまま車に引きずられるというえげつないシーンが描かれました。
重傷を負ったアキは病院で手当てを受けますが、犯人は宇宙人だと郷に伝え、そのまま息を引き取ります。アキの遺体の手を握る郷の「アキちゃん!」という悲痛な叫びが忘れられません。
■消えたヒロインの代名詞? 唐突に地球を去った『A』の南夕子
ウルトラマンのシリーズの「突然消えたヒロイン」として、もっとも有名なのは『ウルトラマンA(エース)』の南夕子かもしれません。
同作では、TAC隊員の北斗星司と南夕子のふたりが「ウルトラタッチ」することでウルトラマンAへと変身します。いわば、もうひとりの主人公だった彼女が、『ウルトラマンA』の表舞台から消えてしまったのは、第28話「さようなら 夕子よ、月の妹よ」の回のことです。
このエピソードで、唐突に夕子が地球人ではなく“月星人”であることや、月を滅ぼした超獣ルナチクスを倒すために地球に派遣されていたことなどが明かされました。
その事実を聞かされた北斗の「知らなかった……君が地球人でないとは」のセリフは、まさに視聴者全員が思ったことでしょう。そしてルナチクスを倒して使命を果たした夕子は、北斗にウルトラリングを託すと、仲間の月星人が逃げ延びた冥王星へと帰っていきました。
この南夕子の突然の離脱以降、北斗はひとりでウルトラマンAに変身するようになります。『A』ならではの、ふたりによる変身シーンが見られなくなった寂しさと同時に、きれいなお姉さん隊員が去ったことが残念でたまりませんでした。