■死亡フラグを綺麗に回収した『鬼滅の刃』サイコロステーキ先輩（愛称）

　最後はモブキャラ界のエースとも言うべき存在・サイコロステーキ先輩だ。彼も名前がないキャラなので、登場シーンでの印象からこんなあだ名をつけられてしまった。

　サイコロステーキ先輩は、吾峠呼世晴氏による『鬼滅の刃』（集英社）に登場する鬼殺隊の隊士のひとりである。彼は登場するやいなや、さまざまな死亡フラグをいくつも立てていた。敵を楽に倒せそうだとうそぶき、聞かれてもいないのに自分の出世計画を口にして、危機感をまったく持たない……。バトル漫画の世界でこれでは、どうぞ死なせてくださいといっているようなものだ。

　下弦の鬼である塁に対してそんなことをしてしまった彼は、蜘蛛の糸によって一瞬でバラバラにされてしまう。そのときのビジュアル面でのインパクトがあまりにも強かったせいで、「サイコロステーキ先輩」というあだ名をつけられてしまったのだ。

　モブ隊士のほとんどが、名乗ることもまともに言葉を発することもなく殺されるパターンがほとんどだ。サイコロステーキ先輩はそうならないためにも、あえて地雷を踏んでいったのかもしれない（!?）。

　その最期はあまりにもあっけなく無残なものだったが、読者の印象には強く残ったので、ある意味では成功したキャラだといえるだろう。

 

　一瞬だけ登場して消えていくモブキャラの中には、今回紹介したようにインパクトが強く読者に異様な人気を誇る者もいる。漫画やアニメを楽しむとき、たまにはメインのキャラだけでなくモブキャラに注目してみるのも面白いかもしれない。

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