6月25日から始まった今期の夏ドラマ『あの子の子ども』(カンテレ制作・フジテレビ系列)が、大きな話題となっている。“高校生の妊娠”というセンセーショナルなテーマで描かれている本作は、まるですぐそこで起きている出来事のようにリアルな描写が素晴らしく、毎回ハラハラしてしまう。
そこで今回は、ほかにもある「未成年の妊娠」というテーマが描かれた漫画実写化作品にスポットライトを当ててご紹介しよう。
■リアルな描写が心に響く!『あの子の子ども』
前述した『あの子の子ども』は、2021年6月号から『別冊フレンド』(講談社)で連載された蒼井まもるさんの漫画が原作だ。
“高校生の妊娠”をテーマにした本作ではキャラクターそれぞれの心情が丁寧に描写されており、「子どもにも読ませたい」「勉強になる」という声が読者から多く寄せられるほど反響が大きく、その人気ぶりからドラマ化が決定した。
実写ドラマでは、主人公の川上福を桜田ひよりさん、福の交際相手・月島宝を細田佳央太さんが演じることとなった。実年齢でも若くフレッシュな2人が「妊娠」という事実に向き合っていく様子があまりにもリアルだ。
また、登場するキャラクターそれぞれの視点から過去を振り返るようなシーンが盛り込まれており、よりキャラクターへの感情移入ができる演出もされている。福と宝の心情はもちろんのこと、彼らの親、友人など周囲の人たちの気持ちにもついつい入りこんでしまう。
とくに石田ひかりさんが演じる福の母親・川上晴美の立場になって見ると、なんとも胸を締め付けられるような気持ちになる。またそれに対比し、美村里江さんが演じる宝の母親・月島直実もまた別の意味で心に響く。
作品を通して優しく柔らかな雰囲気が漂っており、キャラクターたちがお互いを思いやっているのがよく伝わる『あの子の子ども』。絶賛放送中なので、ぜひ見てみてほしい。
■幼い母親がした決断に涙!『コウノドリ』
鈴ノ木ユウさん原作の『コウノドリ』は、産婦人科医・鴻鳥サクラを主人公に、さまざまな妊娠、出産のエピソードを描いた作品だ。2015年に実写ドラマ化された際には、綾野剛さんがサクラを演じ、松岡茉優さんや吉田羊さん、星野源さんなど豪華なキャストが脇を固めた。
本作で「未成年の妊娠」が描かれたのは、第5話(第1シリーズ)でのこと。このエピソードで描かれたのは、“中学生の妊娠”だ。
サクラのもとを訪れたのは、中学2年生の少女・吉沢玲奈(演:山口まゆさん)。彼女は自身の妊娠に気づいておらず、その時点ですでに妊娠8カ月に突入しているという衝撃の事実が判明する。
当然、“出産する”以外の選択肢はない。彼女たちが直面したのは自分たちで育てるか、養子縁組をするか、という究極の選択だ。相手の元倉亮(演:望月歩さん)も同級生で、育てるにしても親など周囲の大人の援助は必須だった。
当初は、検診でエコーを見ても「CGみたい」と他人事だった玲奈だったが、お腹のなかで胎児が大きくなっていくにつれて心境の変化が起こる。少しずつ“母親の気持ち”が芽生えてくるのだ。そんな彼女がくだした決断は……まだ幼いながらに真剣に悩んで出した結論は必見だ。
いざ出産に挑む山口さんの演技もとてもリアルで、ドラマ放送後にはSNSを中心に大きな反響があった。筆者的には生まれたばかりの赤ちゃんを受け取るとき、玲奈がわずかに首を振り赤ちゃんを固く抱きしめるシーンが印象的で、思わず胸が痛くなってしまった。