春秋戦国時代の戦乱を壮大なスケールで描いた実写映画『キングダム 大将軍の帰還』(原作:原泰久)が、7月12日よりついに公開となった。昨年公開された『キングダム 運命の炎』は秦と趙が激突する「馬陽の戦い」の途中で終了してしまったこともあって、この1年間続編を待ち焦がれていたファンも多いことだろう。
公開までに予告映像や特集などで映画に対する期待は大いに高まっていたが、SNSなどでとくに話題を呼んだのが、佐久間由衣さん演じる女性剣士・カイネのキービジュアルだ。馬上で遠くを見つめる姿が、原作のカイネの凛としたイメージにぴったり当てはまっていたことで話題を呼び、公開を待ち望むファンの熱をより高めたのである。
今回は、そんな女性剣士・カイネとはどのような人物であるのかについて掘り下げていこうと思う。
※以下には、コミック・映画『キングダム』の一部内容が含まれています。ストーリーを解説するのが本記事の主目的ではありませんが、気になる方はご注意ください。
■確かな実力で将軍を支える女性剣士
映画の予告からもわかる通り、大局を動かす力があるほど優秀な軍略家の李牧。史実にも名を残し、永らく秦の脅威となる趙軍の要である人物だが、それを傍らで支えているのがカイネである。
凛とした表情が特徴的なカイネは、主君である李牧への忠誠心が厚く、自身のことを李牧の盾であると明言しているほどだ。李牧が窮地に立たされた際には真っ先に反応し、怒気を込めて敵部隊に突撃していく様子が描かれている。
その剣術は折り紙付きで、二刀流の剣士として前線で戦うこともあり、とある時点では三千人将としてカイネ隊を率いることになる。部下からは「カイネ隊長」や「姉さん」と呼ばれ信頼も厚く、攻城戦にて城壁からあえなく落下した際には、地上にいる部下たちが密集してカイネを受け止める様子も見られた。
とはいえ、作中では一般兵を斬り伏せるシーンは多く見られるものの、名のある武将に対しての実力は今一歩及ばずといった印象で、ハラハラする描写が多いキャラクターでもあるといえるだろう。
■物語に深みを持たせるカイネと李牧の関係
カイネと李牧の出会いに関しては『キングダム』本編では描かれておらず、読み切りの『李牧』で描かれている。
遊牧民族である匈奴の脅威に晒されていた趙北方の地・雁門。両親を失い匈奴への復讐に燃えるカイネのもとに、北方守備のため将軍として配置されたのが李牧である。匈奴への復讐を果たしたいカイネとは裏腹に、防御に徹底する李牧。最初は反発していたカイネだが、李牧が指揮を執ることでいかに雁門の堅牢さが保たれているかが証明されたことによって、全幅の信頼を寄せることになるのだ。
こうした経緯もあってか、カイネは密かに李牧に想いを寄せており、李牧との将来を妄想して頬を赤らめたり、その身を賭して李牧を守ろうとするなど、身分の差から悲観的になりながらも李牧に対する想いの深さがたびたび描かれている。