■人間味のあるキャラクター…読者の感情も揺れ動く

 今や数えきれないほどのキャラクターが登場する『キングダム』だが、個性的なキャラクターたちのなかでもカイネは非常に人間味があるキャラクターとして描かれているように思う。

 長らく李牧の側近として仕えていることもあってか、戦闘時以外では柔和な一面を見せることもあり、敵国の非戦闘員に対しては笑顔を見せながら会話をすることもある。ただし戦場で会えば容赦しない、というわけでもなく、時を経て戦場で再会すると情が邪魔をしてしまい殺生には及ばず、己の甘さに苛立ちを見せるという様子が描かれていた。

 物語の進行に合わせて李牧との関係が深まっていくと、子どもたちとともに幸せに暮らす夢を見てニヤケたり、そんな理想の未来を李牧の前で口走ってしまうなど、乙女な一面を覗かせるようになっていく。

 初登場時の落ち着いた印象とは打って変わって喜怒哀楽さまざまな感情が描かれており、物語の立場上は敵でありながらも、読者として感情移入のしやすいキャラクターなのである。

 

 原作においてはもはや主要キャラとして位置づけされているカイネだが、その名は史実には残っておらず『キングダム』の世界オリジナルのキャラクターであると考えられている。そんなカイネと李牧が織り成すドラマチックな展開は、敵ながら感情を大きく揺さぶられてしまうのだ。

 2人の物語が今後どのような展開を見せるのか、原作ファンはもちろん、実写版で感銘を受けた原作未読のファンにも、ぜひ注目してほしい要素の一つである。

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