「かめはめ波」に「界王拳」など、誰しも一度は憧れたであろう『ドラゴンボール』の必殺技たち。敵味方関係なく、攻撃力が高く派手な技は特にかっこよく見えたもので、子どもの頃に友だちと必殺技の練習をして遊んでいたという人も多いのではないだろうか。
華のある必殺技が次々と編み出される一方で、ひっそりと影を潜めていった必殺技もある。特に天下一武道会では各国の名選手が出場しているため、作中で一度しか使われていないという大人になった読者がついつい忘れてしまうような珍しい技もあった。そこで今回は、思わず「そんなのあった!」とテンションが上がる懐かしの必殺技たちを振り返ってみる。
■危険すぎる激レアな必殺技『萬國驚天掌』
『ドラゴンボール』に登場する必殺技の中でも強力とされる技の一つが、亀仙流の奥義「萬國驚天掌(ばんこくびっくりしょう)」だ。
昭和のテレビ番組『万国びっくりショー』を思わせる個性的なこの技は、自身の微弱な電流を手に溜め込んで一気に放ち、相手を拘束しながらじわじわと感電させるというもの。最終的に死に至らしめるほど強力だが、弟子の前で使ってこなかったこともあり、扱えるのは亀仙人こと武天老師ただ一人という激レアな技だ。
一方で、かめはめ波のような一撃必殺ではなく相手を拘束している間は自分も動けなかったり相手との距離を縮めないといけなかったりと難しさもある。
過去に“じいちゃん”こと孫悟飯にも使用しているというこの技が原作で描かれたのは、第21回天下一武道会のみ。悟空ら弟子が優勝して慢心することを危惧した亀仙人が、強者の世界を見せるべく「ジャッキー・チュン」の名で出場し、決勝戦で悟空に向けて使われた。
腕をあげていた悟空は、決勝戦で亀仙人と互角に渡り合う。かめはめ波を跳ね返されされ、亀仙人は奥の手として萬國驚天掌を繰り出した。正面から技を受けた悟空は苦しみ降参するかと思われたが、すんでのところで満月を見て大猿に変身。萬國驚天掌を弾き飛ばして亀仙人を驚かせた。
■突然のキャラ変で困惑と笑いを巻き起こした「排球拳」
数ある必殺技の中でひと際異彩を放っていたのが天津飯が使う「排球拳」だ。原作で登場したのは第22回天下一武道会のみで、決勝戦で悟空に対して使われている。
天津飯が悟空を追い詰める形で進行した決勝戦。悟空を掴み「とっておきの技でとどめをさしてやるぜ!」という天津飯に、「あ…あれをやる気ですね…!」と息を飲むチャオズという、完璧な前振りから飛び出したのが排球拳である。
この技は、「排球」という言葉の通り、簡単にいえばバレーボール。「排球拳いくわよーっ!!!」の掛け声に自ら「はあーい」と答え、悟空を球に見立てて「ワン」でレシーブ、「ツー」で上空にトスをして「アターック!!!!」で強力なスパイクを打つ重ね技だ。
悟空には効いていないうえに突如のキャラ変、トスとレシーブを入れる意味も不明だが、クールな天津飯が披露したあまりにも斬新な技に、多くの読者が度肝を抜かれたものだ。原作も面白いが、アニメ版では、初代声優の鈴置洋孝さんが低音ボイスから突如甲高い声へ切り替えて演じており、思わず吹き出してしまったという視聴者は筆者だけではないだろう。
その後、消えていた排球拳は、「魔人ブウ編」でピッコロとともに戦っていたゴテンクスにより、「激突ウルトラブウブウバレーボール」にリメイクされ奇跡の復活を果たす。
「連続スーパードーナツ」で丸めたブウを抱え、「いくわよ!!」とピッコロを巻き込むゴテンクス。「う…うむ」と合わせるも「『いくわよ』…っていったら『はあ~い』っていわなきゃ!!」と怒られ、困惑しながら「は〜い」からトスまでしてあげたピッコロが可愛く見えるシーンだった。