■引退したのに成長中!? 一歩の復帰展開に期待大!
最近の『はじめの一歩』は読んでいなくても「一歩が引退したことは知っている」という人は多いのではないだろうか。実際、一歩が引退してトレーナーになった展開にガッカリして、読むのもやめた人もいるようだ。
しかし、今の『はじめの一歩』で一番目が離せないのが、実は引退した一歩だったりもする。
一歩は現役を退いてからもトレーニングを続けており、体力に衰えはない。さらにリングの外からボクシングを見たことで、カウンターやサウスポーへのスイッチといった新しい技術をも会得している。引退してからもなお、一歩は急速に進化を遂げているのだ。
その進化は上記で挙げたライバルとのスパーリングで証明されている。ヴォルグとのスパーリングでは無自覚に彼のアバラを損傷させ、間柴とは世界チャンピオンと同質のサウスポースタイルで互角に戦った。ボクサーを引退した一歩が、世界レベルの猛者と互角に渡り合っているのだ。
今の『はじめの一歩』を読む人の多くはこう考えている。「もし今の一歩がボクサーに復帰したらどうなるだろう。いや、復帰してくれ!」と。筆者もそのひとりだ。
だが、一歩は大事な母親を思って引退しており、その意思は固い。はたして一歩がリングに戻る日はくるのかだろうか?
連載期間が長い『はじめの一歩』に思い入れの強い読者は多い。「あのころのほうが面白かった」といった意見が見られるのも、仕方のないところはあるだろう。
しかし今回見てきたように『はじめの一歩』は、まだまだ面白いのだ。ライバルたちの世界戦はそのキャラの総決算を思わせるし、一歩が強くなるたびに復帰に思いを馳せたくなる。
いつか完結したとき、現在の読者が「あのころも面白かったよね」と、語り合っているかもしれない……そう思わせるほどの熱さが、“今”の『はじめの一歩』にはあるのだ。