『北斗の拳』死兆星や『魁!!男塾』民明書房…子ども心に本当にあると信じた「昔の少年漫画の思い出」の画像
ゼノンコミックス『北斗の拳』第4巻(コアミックス)

 現在は、疑問があれば何でもスマホで調べられる時代だ。「この情報は本当かな?」と思ったとき、検索さえすれば真実がどうかが大抵分かる。

 しかしスマホがなかった昭和から平成初期にかけて、子どもたちは“漫画に描いてあることは本当”だと信じていることも多かった。今考えるとありえない内容であっても、当時はそれが真実だと信じ、疑うことはなかったのである。

 今回はそんな子どものころに信じていた、少年漫画の思い出について紹介したい。

■死兆星が怖くて北斗七星が見れない…『北斗の拳』

 まずは、1980年代の少年漫画界をリードした『北斗の拳』(原作:武論尊さん、作画:原哲夫さん)から、死兆星のエピソードを紹介したい。

 この死兆星とは、北斗七星のそばで輝く星である。“この星が見えたものは近いうちに死が訪れる”とされており、本作では死兆星を見たレイなどが死んでいる。

 もちろんこの設定は『北斗の拳』だけの話であり、実際に北斗七星のそばで輝く星を見ても死ぬことはないのだ。それなのに当時小学生だった筆者やその周りの友人は“死兆星が見えたらどうしよう……”と思い込み、北斗七星を見るのが怖かったのである。

 ちなみに北斗七星は日本の夜空でほぼ年間を通して観察できるうえ、死兆星の元ネタとなったであろう“アルコル”という4等星も存在する。アルコルは視力の良い人なら見えるそうなので、空気が澄んでいる夜間に死兆星探しをしてみるのも面白いかもしれない。

■『魁!!男塾』図書館で探した“民明書房”

 宮下あきらさんによる人気漫画『魁!!男塾』には、民明書房から出版されたものをはじめとする謎の書籍が登場する。これらの書籍は男同士のバトルが始まるとき、その戦いの由来や歴史を紹介しているのだ。

 たとえば“男塾名物”である「大鐘音」は、“武田信玄が上杉謙信との戦いで遠方にいる味方が苦戦に陥った際、味方の兵を励ますために一千騎の兵を並べ大声を出して檄を送った。その距離はおよそ100キロ離れていた”と、民明書房刊『戦国武将考察』で解説してある。

 このような書籍には実在した将軍の名前なども登場するため、子どもにとっては信憑性が高いものだった。ラグビー(羅惧美偉)をはじめとしたスポーツのルーツなどについても、民明書房から出版された本の内容を信じた子どもはいただろう。

 ちなみに筆者の友人は子どものころに、図書館で民明書房刊の本がないか必死に探したそうだ。このような思い出がある大人も実は多いのではないだろうか。『魁!!男塾』に登場する謎の書籍は、まさにウソかまことか分からない謎めいた本と言えそうだ。

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