■鬼や町人も?過去シーズンのちょい役にも大物がいた

 鎹鴉や隊士以外にも、随所で驚く配役がされていた。たとえば『立志編』の浅草で、炭治郎に山かけうどんを食べさせたうどん屋主の豊さん。個性的なキャラながら一瞬しか登場しないこの人物を演じたのは、映画『AKIRA』で金田正太郎役を務める岩田光央さん。まさかの大物だが、出演は本当にこの一瞬のみだった。

 さらにアニメ版『無限列車編』では、お弁当を売る少女役に『五等分の花嫁』中野五月役などの水瀬いのりさん、『遊郭編』では宇髄天元の使い忍獣・ムキムキねずみ役に木村昴さん(『ドラえもん』ジャイアンなど)が登場。セリフが「ムキッムキッ」のみの鼠に木村さんとは、なんと贅沢なことだろうか。

 瞬殺される下級鬼たちにも豪華声優が起用されている。『立志編』で炭治郎が初めて出会ったお堂の鬼もそうだ。刀を持たない炭治郎にも負けるこの下級鬼を演じたのは、テレビアニメ『SLAM DUNK』流川楓役や『新機動戦記ガンダムW』ヒイロ・ユイ役などの緑川光さん。一発退場でいいのかと疑問すら湧く配役である。

 その後の最終選別で手鬼を演じたのは、『ジョジョの奇妙な冒険』DIO役などで知られる子安武人さん。ラスボスではあれど、かなり贅沢な配役である。息子の子安光樹さんは『柱稽古編』でモブ隊士を演じており、親子揃って「鬼滅」に出演したことになる。

 通称「パワハラ会議」も、驚きの声優が登場して視聴者を沸かせた場面だ。下弦の鬼は名前があり下級鬼よりレベル的には上だが、壱・魘夢と伍・累以外は作中で戦闘も描かれておらず、パワハラ会議で鬼舞辻無惨に瞬殺されるため、ほぼモブ的なポジション。

 にも関わらず、声優は弐・轆轤が楠大典さん(『ONE PIECE』ウルージ役など)、参・病葉が保志総一朗さん(『機動戦士ガンダムSEED』キラ・ヤマト役など)、肆・零余子が植田佳奈さん(『魔法少女リリカルなのは』シリーズの八神はやて役など)、陸・釜鵺がKENNさん(『宇宙兄弟』南波日々人役など)と非常に豪華で「すごい」の言葉以外出てこないレベルだ。

 どのシーズンにも、必ず端役で有名声優が登場している『鬼滅の刃』。いい意味で「声優の無駄使い」と言われるのも納得である。本編はこれからクライマックスに差し掛かっていくが、次はどんな大物声優が登場するか楽しみで仕方がない。

  1. 1
  2. 2
  3. 3