■『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』本間芽衣子

 最後は泣けるアニメとして必ず取り上げられる『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』のめんまこと本間芽衣子だ。銀髪碧眼かつ色白、おまけに着ているワンピースも胸元の青いリボン以外真っ白で、どこか儚い印象のある美少女である。しかし表情豊かで言動も幼く、その天真爛漫な振る舞いは見る者を微笑ましい気持ちにさせてくれる。

 めんまは小学生の頃、幼なじみたちと秘密基地で遊んでいたとき、ひょんなことから川に転落して亡くなってしまった。それをきっかけに当時の幼なじみたちはバラバラになり、それぞれが彼女の死を引きずっていた。主人公のじんたんこと宿海仁太もそのうちのひとりだ。

 そんなある時、めんまは高校生になったじんたんのもとへ現れる。どうして数年経ってから?という謎は、物語の鍵にもなっていた。しかもじんたんにしか見えない不思議な状況だ。

 そこからじんたんは、めんまを成仏させるために奮闘するがなかなかうまくいかない。さらにめんまに残された時間が少なくなると、じんたんまでめんまの姿が見えなくなってしまう。これには見ているこちらも焦ってしまった……。

 しかし、かつての友人たちが力を合わせて奔走した結果、めんまは成仏する。そこからもめんまが、バラバラになった友人たちの関係を修復させるために現れたことがわかる。

 めんまは幽霊なのに、じんたんと遊んだり会話をしたりしているので、まったく幽霊っぽくない。しかもじんたんを介して他の友人と会話をしているのも面白かった。ひょっとしたら、めんまはこれまでにない次世代の幽霊の形を作り上げたのかもしれない。

 

 漫画やアニメに登場する幽霊キャラは、味方の場合だと縁の下の力持ちのような存在である。しかし、成仏することが目的でもあるので、ずっとそばにい続けるのは難しい。できれば、もっと一緒にいてほしかった……。思わずそう願ってしまった幽霊キャラもいるのではないだろうか。

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