本日7月20日は「修学旅行の日」として知られている。1889年、山梨女子師範学校が女子校初の修学旅行を実施したことがその由来である。同級生皆で旅行をするこの学校行事は、思い出作りの場として大切な意味を持つものだ。
そんな修学旅行は学園ラブコメ作品にとっても欠かせない要素であり、ストーリー的に重要な転換点になっていることも少なくない。そこで今回は『週刊少年ジャンプ』の名作学園ラブコメの中から、心に残った修学旅行エピソードを紹介していこう。
■胸キュンポイントが盛りだくさんの『I”s』
『I”s』は桂正和氏が描く恋愛漫画で、1997年から3年間『週刊少年ジャンプ』で連載されていた。素直になれない男子高校生・瀬戸一貴と演劇部に所属する美少女・葦月伊織の恋愛をみずみずしく描いた、90年代の『週刊少年ジャンプ』を代表する名作漫画のひとつだ。累計発行部数が1000万部を超える伝説的なラブコメ作品としても知られている。
本作の第3巻で描かれた修学旅行エピソードでは、一貴と伊織の距離が一気に縮まる。読者としてもドキドキさせられる場面が多かった。
新幹線で京都に向かうまでのふたりのやり取りに、京都についてからなかなか一緒に行動ができないことに焦りを感じる一貴の姿……。そして、女子部屋で話している時に先生が見回りに来るという「お決まり」のパターンや、ふたりきりで京都を巡る姿など、胸キュンポイントが盛りだくさんだ。
そんな中、いよいよ一貴が告白するという覚悟を決めるのだが、彼はあることがきっかけで東京へと帰らなければいけなくなってしまう。ふたりが一気に距離を縮めたように思われた一方で、そう簡単に物事は進んでくれないのだ。そんな『I”s』の修学旅行エピソードには、一筋縄ではいかない恋愛を描く本作の作風がよくあらわれているといえるだろう。
■ 三角関係が大きく変化…『いちご100%』
河下水希氏の『いちご100%』にも、修学旅行のエピソードが存在する。本作は2002年から2005年まで『週刊少年ジャンプ』で連載していた作品で、読者から絶大な人気を得たラブコメ漫画の金字塔だ。
本作では、平凡な男子高校生・真中淳平とアイドル顔負けの可愛さを誇る西野つかさ、いちごパンツの清楚系美女・東城綾といった個性豊かな美少女たちとの恋愛が群像劇として描かれている。主人公の淳平には、西野と付き合いながらも東城の魅力に引き寄せられてしまう優柔不断な一面がある。そんな彼の性格がよく分かるエピソードのひとつが、修学旅行編だ。
淳平は西野と違う高校に進学し、東城と同じ高校に通っていた。ふたりは映像研究部に所属していて、西野の知らないところで彼らの関係性は深まっていく。やがて西野が焦りを感じる中で修学旅行という一大イベントが始まり、そこで淳平と東城の関係に大きな変化が訪れるのだった。
修学旅行編の最大の見どころは、東城が自分の班のメンバーとはぐれてしまい、淳平が清水寺で彼女を見つけるシーンだ。そこでふたりは気持ちが高まりキス寸前にまでなってしまう。しかし、そこに時を同じくして修学旅行で京都を訪れていた西野が現れ、そんな彼らの姿を目撃してしまうのだ。
「西野か、東城か」という作品最大の見どころを象徴するようなシーンであり、その後淳平がショックを受けた西野のために男らしい行動を見せる名エピソードにもなっている。その他、ヒロインの一人・北大路さつきが温泉で淳平に迫ったり、トラブルメーカーの端本ちなみが乱入したりなど、見ごたえたっぷりの内容が描かれていた。東城と親密になると思いきや、逆に西野との関係がより深まっていく点も面白い。