『キングダム 大将軍の帰還』ではどう描かれる?圧倒的存在感を誇る大将軍・王騎の名シーンを振り返るの画像
(C)原泰久/集英社 (C)2024映画「キングダム」製作委員会

 2006年から『週刊ヤングジャンプ』で連載されている原泰久さんの漫画『キングダム』(集英社)。本作を原作とした実写映画第4弾『キングダム 大将軍の帰還』が2024年7月12日より公開となる。

 これまでに『キングダム』(2019年)、『キングダム2 遥かなる大地へ』(2022年)、『キングダム 運命の炎』(2023年)と3作が公開されており、興行収入はいずれも50億円を超える大ヒットを記録。6月28日から日本テレビ系『金曜ロードショー』で3週連続にわたっての放送もされており、『大将軍の帰還』はこの夏一番の大きな注目を集める作品になるはずだ。

 そんな最新作で重要人物になりそうなのが、大沢たかおさん演じる王騎将軍だ。今作では前作に続いて「馬陽(ばよう)の戦い」が描かれ、趙三大天の一人である吉川晃司さん演じる武神・龐煖と最強将軍・王騎がぶつかる。過去3作でも圧倒的な存在感を誇ってきた王騎がどのような姿で描かれるのか、公開を楽しみに待つファンは多いだろう。

 王騎というキャラのどこが魅力的なのか。今回は、王騎の名シーンを振り返っていきたい。

■上級武官・魏興を一刀両断!

 まずは王騎が作中で初めて自らの力を誇示したシーンから紹介したい。王騎とはどんな人物なのかがまだはっきりとしない状況だったからこそ、その一振りに衝撃を受けた読者は多かったに違いない。

 物語序盤、秦国の若き王・嬴政の弟である成蟜が反乱を起こした時、王騎はどちらに肩入れするでもなく微妙な立ち位置にいた。それは政と成蟜のどちらが自ら仕える王に相応しいのかを見極めるためでもある。

 やがて成蟜が王の器ではないと気付くと、協力関係にあるように見せておきながらあっさりと裏切る。しかもそれが決定的になったのは、成蟜が襲撃を受けてピンチに陥っている真っ最中のことだった。まるで成蟜を助けるかのように現れたのだが、王騎にそんな気持ちはまるでない。

 そこに現れた王弟派の武官・魏興が裏切り行為の説明を迫るが、最初から仕えているとは思っていない王騎は無言のまま。そのため魏興が王騎に襲いかかろうとすると、王騎は持っていた巨大な矛であっさりとその身体を両断してしまった。たったの一コマで決着がつくこのシーンには、王騎の強さがありありとあらわれている。

 その後王騎は政との会話で、政の曾祖父である昭王との昔を思い出す。かつて昭王に仕えて、熱き夢を見て戦場を駆け抜けた日々……。「中華の唯一王」を目指す政の中に、当時のような熱い時代の予感を感じ取ったのだ。

■秦軍10万の総大将となり軍を導く

 突如侵攻してきた趙軍を討伐するにあたり、王騎は政から秦軍の総大将に任命される。この戦いは「馬陽の戦い」と呼ばれるもので、秦軍にとっても命運を分けるものとなった。

 この戦いでは、王騎の総大将としての実力が発揮される。王騎は進軍の前に味方を鼓舞するかのように先陣に現れると「全軍前進」を命じた。短い言葉だったにもかかわらず、それだけで従う兵士たちの士気が一気に上がり、死ぬことすら恐れなくなる。

 王騎の魅力はこういった大軍を統べる圧倒的なカリスマ性にあると思う。戦いにおいて何よりも大事なのは、数よりも兵士の士気だろう。戦略などももちろん大事ではあるが……。

 仮に大将が臆したり迷いがあったりしては、それは軍全体に響いてしまう。しかし、王騎はいかなる状況でもブレないし、決して臆さず勝つことだけを考えている。そんな気迫が、何気ない立ち居振る舞いだけで自然と兵士にも伝わるのだ。

 しかも堂々と先陣を切っているところからも自信に満ち溢れているのが分かる。だからこそ読者も、「王騎なら絶対に何とかしてくれる」という熱い気持ちになってしまうのだ。命を懸ける戦いには、心持ちがいかに重要なのかということを教えられた気がする。 

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