■志々雄との最終決戦では「悲愴」が芸術的に響く!

 志々雄との最終決戦では、アニメ制作陣の本気度がひしひしと伝わってくる。アニメではおよそ9か月以上にわたって放送されてきた「京都編」の最終盤で、志々雄は剣心についに追い詰められてしまう。志々雄は全身に負った火傷の後遺症でほとんど動けない状態になり、彼の愛人である駒形由美が2人の戦いに割って入る。そのシーンで流れるのがべートーヴェンのピアノ・ソナタ第8番「悲愴」第2楽章だ。

 由美は剣心に志々雄は戦える状態ではないと懇願する。しかしそれを受けて剣心が刀を持つ手から力を抜いた瞬間、志々雄が由美ごと剣心に刀を突き立てるのだ。ここで「悲愴」の旋律が場面を美しく彩るのだが、少々歪んではいるが一途に志々雄を想う由美の気持ちが、美しく芸術的に表現されていた。

 圧巻のバトル描写の中で突如として流れる「悲愴」は、今でも旧アニメの代表的なシーンとなっている。映像はもちろん音楽も美しいこちらの場面、新アニメの「京都編」を見る前にぜひ改めてチェックしてみてほしい。

 

『るろうに剣心』はメディアミックスをおこなうたび、さまざまな挑戦をしてきた。旧アニメは特にその傾向が強く、アニメ界に語り継がれるシーンが多く存在している。新アニメの第2期放送にあわせて旧アニメの名シーンの数々をチェックすると、作品をより楽しめるはずだ。

  1. 1
  2. 2