■若手実力派女優が演じる“二面性”が愉快な女子高生…『町田くんの世界』高畑充希

 2015年より『別冊マーガレット』(集英社)にて連載された安藤ゆきさんの『町田くんの世界』は、勉強も運動も苦手な冴えない高校生が送る学園生活を描いた、一風変わった恋愛漫画である。

 主人公はいわゆる卓越した能力を持った“イケメン”ではなく、苦手なことだらけだが人々から愛される高校生・町田一。これまでの少女漫画とは違った主人公像に共感する人が続出し、その高い人気から2019年に実写版映画が公開された。

 そんな本作でのぶりっ子キャラといえば、一と同じ学校の女子高生・高嶋さくらだ。さくらは失恋をして一から優しくされたことをきっかけに、彼を気にかけるようになっていく。

 さくらのぶりっ子っぷりはクラスメイトの間でも有名なのだが、実は過去に一人の男性としか付き合ったことがないなど、さまざまなギャップを隠し持つキャラクターだ。“ぶりっ子”全開で町田に猛アタックするも、恋心が分かっていない彼にことごとくスルーされ、そのたび女子相手に激しい口調で苛立ちをあらわにしたりもする。

 そんな表裏が激しいキャラクターを演じたのが、高畑充希さんだ。高嶋さくらの最大の特徴ともいえるこの“二面性”を、高畑さんは見事に演じ切り、数々のコメディシーンによって作品を大いに盛り上げた。

 撮影当時、高畑さんは26歳であったが、制服を身に纏ったその姿はまさに現役女子高生そのもの。ちょっとした仕草や立ち振る舞いのなかにしっかりと“可愛さ”を表現している点も、彼女が若手実力派女優といわれるゆえんだろう。

 恋に対し一途に、ときに貪欲に突き進んでいくキャラクター像を見事に表現しきった、高畑さんの実力が光る一作である。

 

 ときにコメディタッチで、ときには圧倒的な悪役として……恋愛漫画に登場する「ぶりっ子キャラ」はその強烈な二面性で観る者までをも魅了してしまう。彼女たちのインパクト大な姿を見事に演じ切る女優たちの実力の高さにも、思わず圧倒されてしまう作品ばかりだ。

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