■原作への並々ならぬリスペクトのなせる業…『シティーハンター』

 北条司さんの名作漫画『シティーハンター』が2024年にNetflixで実写映画化された。なかでも主人公・冴羽獠役として抜擢された俳優・鈴木亮平さんは、原作再現のために並々ならぬ“こだわり”を見せていた。

 近年、さまざまな実写化映画に登場している鈴木さんだが、そのたびにとんでもない方法で担当するキャラクターを再現することでもお馴染みの俳優だ。その徹底した役作りは映画ファンの間でも有名で、体作りだけではなく、ときにはアニメ版のキャラクターの“声”を研究したりと、よりリアリティのあるキャラクター像を作り上げることには定評がある。

 そんな彼が今回こだわりを見せたアプローチのひとつに、獠が身に纏う“衣装”があった。

 実は『シティーハンター』は以前にもフランスで実写版が公開されており、その際は赤いシャツに水色のジャケットというアニメ版でお馴染みのビジュアルが採用されていた。

 一方、今回の実写版ではベージュ色のジャケットを身に纏っている。実はこれ、鈴木さんが直々に提案したものなのだとか。鈴木さんは原作漫画も読み込んでおり、よりリアリティ溢れる実写版を作り上げるためにあえて漫画版の色合いを採用することにしたそうだ。

 漫画版でも獠はカーキ色のロングコートなどほかの衣装を身に纏うこともあったが、実写化した際により現実的で違和感を抱きにくい色味を考えた結果、今回の衣装に落ち着いたという。

 そのうえで、アニメ版で獠が着ていた水色のジャケットや赤いシャツも、ちょっとした場面で登場するよう配慮しており、漫画版、アニメ版のファンそれぞれが納得する演出が散りばめられている。

 自ら衣装の色合いを提案する意欲もさることながら、鈴木さんの原作へのリスペクトが強く表れたエピソードだろう。

 

 漫画作品を実写化するうえで、やはりキャラクターたちの“衣装”をどう再現するのかは、監督やスタッフが頭を悩ませる点だろう。さまざまな創意工夫によってスクリーン上で再現されるキャラクターたちの衣装の数々に、ぜひとも注目してみてほしい。

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