■師弟の絆が悪を貫く! 悟飯の“魔貫光殺砲”

 悟空の良きライバル、ピッコロの技でもっとも有名なのは“魔貫光殺砲”だろう。原作ではラディッツ戦で使われただけだが、その一度で読者の人気をかっさらった。

 長年ピッコロの代名詞となっていた魔貫光殺砲だが、2022年公開の映画『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』で悟空の息子、孫悟飯が使って話題になったことはご存じだろうか。

 ピッコロと悟飯が主人公に抜擢された本作では、終盤にレッドリボン軍の残党が目覚めさせたセルマックスとの死闘が繰り広げられる。戦いの中で新たな力「孫悟飯ビースト」に覚醒した悟飯が最後の一撃に選んだのが、敬愛するピッコロの魔貫光殺砲だったのだ。

 決着後にピッコロから「(魔貫光殺砲を)撃てたのか」と尋ねられた悟飯が、「こっそり、練習したことが……」と照れくさそうに答える様子にジーンとしてしまう。

 原作では悟空の死をきっかけに師弟となり、互いを尊敬し合う良い関係を結んだピッコロと悟飯。だが、悟飯がピッコロに影響された技は幼少期に使った“魔閃光”ぐらいしかなかった。

 師匠の技を弟子が受け継ぐ……ピッコロと悟飯の深く熱い絆が感じられる一幕だ。

 

『ドラゴンボール』のアニメは“引き延ばし”と揶揄されがちで、確かに過剰な演出や独自の展開が多い。それらをまとめて「アニオリ」と呼び、敬遠するファンもいる。

 一方で、今回紹介した素晴らしい必殺技は、アニメ版があったからこそ実現したのも事実だ。漫画とアニメ、異なるメディア展開があるからこそ化学反応が起こり、原作にない魅力が生まれる。『ドラゴンボール』はその典型といえるのではないだろうか。

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