アラフィフとなった筆者だが、スーパーのお菓子売り場に行くといまだにテンションが上がってしまうもの。何を選ぼうかと迷うのは、いくつになっても変わらない。
売り場を見渡してみると、ふと今では見かけなくなった懐かしいお菓子を思い出してしまう。とくに思い出に残っているのが、一風変わったエスビー食品のスナック菓子だ。子ども時代はよく食べていたが、エスビー食品はすでに菓子事業から撤退しているため、もう出会うことができない。
そこで、懐かしいエスビー食品のスナック菓子を振り返ってみよう。
■まだ分数が分からなかったが…サイズと響きが心地良い「5/8チップ」
まずは、1979年に発売されたスナック菓子「5/8チップ」だ。ポテトチップスといえば今の時代でも子どもの定番のお菓子といえるが、エスビー食品が手掛けたこの「5/8チップ」は一味違う。
なんとサイズが少し小さめで、一般的なポテトチップスの5/8のサイズだというのだ。昭和の時代、駄菓子屋や駅の売店では定番のお菓子だったものだ。
子どもには手ごろなサイズ感がマッチしており、まだ分数もわからないのにサイズと響きが心地良い「5/8」に惹かれたものだったな。
■佐藤か鈴木? 自分の名前も欲しかった「S&Bスナック 鈴木くん チョッピリ しお味」「S&Bスナック 佐藤くん ほんのり チーズ味」
次は、これまた発想が素晴らしいスナック菓子「S&Bスナック 鈴木くん チョッピリ しお味」と、「S&Bスナック 佐藤くん ほんのり チーズ味」。「鈴木」「佐藤」は日本でも多い苗字として有名だが、そのネーミングに沿ったスナック菓子となっていた。
真面目そうな鈴木くんに対し、ちょっとわんぱくそうな佐藤くん。当時のテレビCMでも、二人がお互いにライバル意識を持っているのがうかがえた。なかなか面白い趣向で、佐藤くんが常に冷や汗かいて照れているのが可愛かった。
のちに、田中くんや山本さんも発売されていた。自分の名前もあったらいいのになあと思ってしまったものだったな。
■ポテチにあられ? その発想は今でも思いつかない「S&B あ・られチップ」
エスビー食品には、ほかにもユニークなスナック菓子があった。そう来たか!と思わせてくれたのが「S&B あ・られチップ」だ。
ポテトチップになんとあられを振りまぶした「S&B あ・られチップ」は、パリッとしたポテチに対し、固めの食感のあられが見事にマッチしていて、その独特の噛み応えがやみつきとなったものである。
パッケージのサイズは「5/8チップ」と同じだったようで、普通の丸みを帯びた形状ではなく六角形で角ばっているのが印象的だった。ネーミングは「あられチップ」ではなく「あ・られチップ」と読むのもミソだった。
ちなみにテレビCMでは若かりし頃の西田敏行さんがエアロビクスの講師となって登場している。テンガロンハットをかぶって軽やかに踊りながら女性たちを指導しているのが妙に面白く、ウケたものである。
■心地よい食べやすさ!CMのほのぼのカップルにちょっぴり憧れた「S&B パフスティックコーン」
ちょっと長くない?と思えるくらいに長いスナック菓子「S&B パフスティックコーン」も、人気だった。剣道部の男子高校生が、ベンチで隣に座っている女の子に唐突にキスされて恥ずかしがるというテレビCMを覚えている人も多いだろう。
当時は、ほのぼのとしたカップルの仕草にちょっぴり憧れた。男子高校生役は元俳優の宮田恭男さんだったが、あのキスをするシーンはアドリブというより、本人には知らされていなかったドッキリだったらしい。それだけにあの照れ隠しのような爽やかな笑顔はピュアさ満点で、今見ても微笑ましく思える。なんとも初々しかった。
「S&B パフスティックコーン」にはチーズ味とバター味があった。手軽でサクサク食べられるので、親に買ってもらったときは嬉しかったな。
さて、エスビー食品のスナック菓子は本当に一風変わった路線を進んでいたものだった。趣向を凝らしたお菓子たちにはワクワクさせられ、そのたびハマった覚えがある。
ほかにも少し高かったので買ってもらえるのがレアだった「S&B ヘッドギア」などもあった。幼少期に足が速くなると本気で信じてしまったものだ。思い出すとなんとも懐かしくなってしまう。