■グラスに注いだ命の炎「喰命聖女」
コミック10巻に登場する「喰命聖女」は、人の命を炎にして飲むクーフレームという女性が登場する。
ある日、鉄郎とメーテルは年間99%が雨の日という「雨が池」という星に降り立つ。その後、洪水に巻き込まれた鉄郎はメーテルとはぐれてしまい、ひとまず頑丈な建物に避難する。しかし、その場所は命の火を飲むクーフレームの館であった。
部屋中に燃える青い炎は、触れても熱くない。クーフレームはその炎を「この世で一番おいしい飲みもの……」と言い、鉄郎やメーテルの体から命の炎を奪おうとするのであった。
当時アニメでこのエピソードを見た筆者だが、とても印象に残っている。青い炎で、しかも美味しくて飲める炎ってどんな味なんだろうと憧れたものだ。その後、姉と一緒にドライアイスの煙を炎に見立て、食してみようとしてみた記憶まである。もちろんむせるだけで終わってしまったが……。
命の炎を奪われそうになった鉄郎であったが、最終的には彼の熱く燃え上がる炎を見た部下のアークが人間だった頃を思い出し、鉄郎の炎の代わりに自らの命の炎を差し出すことで窮地を救う。「若者の火は迫力があって、熱く燃えているから……」という、メーテルの最後のセリフがとても印象的だ。
『銀河鉄道999』には実に多くのグルメが登場する。美味しそうなものと口にはしたくないものに分かれるが、今回紹介したような「ちょっと怖いけど食べてみたい」魅力あるグルメも多いのだ。
残念ながら地球にはない食べ物なので口にすることはできないが、きっと宇宙のどこかにある料理だと空想し、味を想像してみるのも面白いだろう。