■血液を固める恐ろしさ「ザラキ」

 敵グループを即死させる効果を持つのがザラキだ。古い書物には死の呪文として記されているらしい。相手の血液が一瞬にして凝固するので、生命活動が停止してしまうのだ。

 説明書によると、かつての魔王たちはこの呪文で世界を支配していったらしい。いやいや、ラスボスがザラキなんて使ったら反則級である。

 血液が凝固するとなれば、まさに死の呪文にふさわしい。そういえば漫画『ダイの大冒険』ではザボエラがバダックにザラキをかけていた。あのシーンは即死ではなく、死の言葉に負けると絶命する遅効性の呪文だったような気がする。

 血液が徐々に固まることで、体全体がだんだん死に近づいていくわけで、よくよく考えると即死よりも怖いかもしれない。

■神の敬示で大爆発?意味を考えると怖い「イオナズン」

 最後は敵全体に効果を発揮するイオナズンだ。シリーズを通して、覚えるとザコキャラを一掃できる強力な呪文である。説明書によると、古い書物に「大爆発をおこせしもの」と記されており、本来は神々が地上の人間たちに敬示(原文ママ)を与える呪文らしい。

 敬示……おそらく啓示のことなのだと思うが、それは本来人間の力では及びもつかないものを、神がよく分かるようにあらわし示すことを指す。

 この“よく分かるように”ということを考えると、もしやイオナズンは黙示録のラッパの代わりなのか? そうなると人類滅亡まっしぐらである。

 いや、ドラクエの神々がそんなことをするわけがない。説明書の続きには人間の中にも使える者が現れたとなっている。そうか、魔物を倒すために神が人間に啓示した呪文なのだろう。そう考えると納得である。

「この呪文を使って魔物を倒し、地上を平和に導きなさい」といったお告げがあったのかもしれないな。まあ、なぜか敵側も使えるのが不思議なのだが……きっと邪悪な神もいたのだろう。

 

 こうして改めて見てみると、『ドラクエII』の説明書には度肝を抜かれる。しかし、あくまでも今となっては……と言うだけであり、当時は妙に説得力があったものである。

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