■『呪術廻戦』禪院直哉

 最後は芥見下々氏による『呪術廻戦』(集英社)に登場する禪院直哉を紹介していきたい。彼の場合糸目というよりは狐目のジャンルに入るが、どこか食えない印象があるのは他のふたりと同様である。

 禪院家は呪術界御三家のひとつで、多くの優秀な呪術師を輩出してきた。そのため、呪術を使えない、あるいは優秀でない人間に対しての風当たりがかなり厳しいともいえる。

 それは、「禪院家に非ずんば呪術師に非ず 呪術師に非ずんば人に非ず」という格言があるところからも明らかだろう。そんな中で育った真希や真依は、幼い頃からずっと肩身の狭い思いをしていた。

 そんな禪院家の現当主が禪院直毘人で、息子や兄弟が脇を固めている。全員が呪術師としてのプライドを持っているようだが、父に続いて次期当主の座を狙う直哉ももちろん例外ではない。ネタバレしない程度に説明すると、いろんな人間を見下してしまうタイプだ。

 呪術師としての強さを持つ人間しか認めず、それ以外の存在は徹底的に馬鹿にして嘲笑う……そんな感じなので、三流呪術師は眼中にないといった様子なのである。しかし、それもすべて自分の能力に絶対的な自信があるからこそだ。性格はかなり悪いが……。

 そんな直哉だからこそ、本気を出したバトルにも注目が集まることになるだろう。制作決定となったアニメ第3期「死滅回游」では彼の活躍が見られるはずなので、他のキャラとの絡みが楽しみだ。

 

 バトル漫画での関西弁を使う糸目キャラには、つかみどころがなく食えない人物が多い。本心を見せず実力を隠している者もいるので、ときには読者すらすっかり騙されてしまう……。

 こうなると逆に、同じ属性でまっすぐすぎるキャラも見てみたい気がする。

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