ポジ&ネガにシッポナも!愛らしい? 憎らしい? 昭和の「魔法少女アニメ」に欠かせなかったマスコットキャラの魅力の画像
『魔法の天使 クリィミーマミ メモリアル グッドバイ・ワンスモア』(双葉社)

「魔法少女アニメあるある」のひとつに、マスコットキャラの存在がある。古いところでは1967年に放送された『コメットさん』のベータンなど、「魔法少女」+「マスコットキャラ」の関係は歴史が長い。

 1990年代の初放送以降、現在でも根強い人気を集めるアニメ『カードキャプターさくら』にも、羽の生えたクマのような外見をした“封印の獣”ケロちゃんが登場する。彼も可愛い見た目と抜けた性格の一方で、実は凄い力を秘めているというギャップで人気を博したキャラだ。

 今回は、ケロちゃんのように作品を盛り上げていた魔法少女アニメのマスコットキャラをいくつか振り返ってみよう。

■主人公とだけ会話ができる猫型の妖精「ポジ&ネガ」

 まずは、1983年に放送が始まった魔法少女アニメ『魔法の天使クリィミーマミ』から、クリィミーマミこと森沢優を見守っていた「ポジ&ネガ」を見ていく。彼らは、子猫のような姿をしているが中身は魔法世界フェザースターの住人・ピノピノの従者の妖精だ。

 ある日、ピノピノは困っていたところを優に助けられ、お礼として1年間限定の魔法を優に授ける。そのときに“お目付け役”として置いていったのが「ポジ」と「ネガ」である。

 二匹とも白猫で、耳と口元と胸毛がピンクなのがメスのポジ、エメラルドグリーンなのがオスのネガ。小さな体とどこか抜けた表情が可愛くて、飼い猫に「ポジ&ネガ」と名前をつける人が現れるほど人気があった。   

 ネガはズバズバものを言う毒舌タイプだが、筋が通っていて本質を捉えるのが上手い。可愛い顔に反してダミ声なのも筆者的にはツボだった。ポジはほんわかタイプながらたまに天然っぽいところがあり、二匹のバランスは絶妙である。

 当初は主人の言いつけに従っただけで人間を好んではいなかったが、次第に優との絆が深まっていく「ポジ&ネガ」。最終回のファイナルコンサートでは、コンサート中にピノピノが魔法を回収しにくると、二匹は必死で「あと1曲待ってやれ」と止める。ラストソングの『デリケートに好きして』を聞きながら、ポジは「この歌が終わったら私たち優とお別れよ」と泣き、ネガは「泣く奴があるかよ!!」と怒りながら泣いた。

 マミはそんな二匹を抱きしめて涙を流しながら歌い切り、「ピノピノ……もういいわ」とショーを終わらせるのだった。まさに、マミとポジ&ネガの絆が描かれた名場面だった。

■桃太郎モチーフ=猿鳥犬のお供「モチャー・ピピル・シンドブック」

 アニメ『魔法のプリンセス ミンキーモモ』の主人公であり、夢の国フェナリナーサのプリンセスのモモには、会話ができる3匹の動物のお供がいた。1982年にスタートした第1期「空モモ」と1991年の第2期「海モモ」の2シリーズが制作されていて、お供は名前と姿を変え、どちらにも登場している。

「モモ」という名前からも何となくわかるように、同作のキャラは童話『桃太郎』がモチーフだ。子どもの頃は何も考えずに見ていたが、たしかによく見れば、お供は猿、鳥、犬である。

「空モモ」の猿は「モチャー」という名前で、茶色くてまん丸な体から大きな耳と長いしっぽが生えたチャーミングなキャラだった。なんとも言えないゆるキャラ感があり、愛嬌もダントツである。「海モモ」では紫×白×ピンクのカラフル配色になり、名前は「チャーモ」になった。

 鳥は「空モモ」では「ピピル」で、「海モモ」では「ルピピ」。どちらのバージョンもカラーは黄色で、フォルムから顔の作りまで全てがゆるくて非常に愛らしい。小さな体ながら中身はしっかり者で、モモよりも女の子らしい一面がある。

 お供の中で最も知識が豊富だったのが、薄茶色の犬「シンドブック」(空モモ)だ。正式な年齢は出ていないが、犬のヒゲを人間のヒゲに模したキャラデザインのうえ、語尾が「じゃ」なので“博士っぽい”と思っていたのは筆者だけではないだろう。彼は「海モモ」で名前が「クックブック」になり、奇抜な青色に変わっている。

『ミンキーモモ』は扱うテーマがなかなか重く、ショッキングな展開もあるのだが、お供を始めとするキャラがほんわかしていて明るい。シリアスになりすぎない点も魅力のひとつだろう。

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