MS(モビルスーツ)での緊迫した戦闘シーンが魅力の一つである『ガンダム』シリーズ。
作中には戦争に翻弄されながら成長していく主人公や、叫びとともに爆散する名もなき一般兵など数多くのキャラクターが登場するが、なかには戦闘に悦びを覚え、笑いながら戦場を蹂躙していく者たちもいる。そうしたキャラは単なるお調子者やかませ犬などではなく、なまじ実力があるがゆえに半端なパイロットでは撃退できないのが非常に厄介なのである。
今回は、そんな高い戦闘力を持って戦場に混乱をもたらす、闘争に魅せられた者たちを紹介していこう。
■戦場に身を置き続けた“野獣”の生き様「ヤザン・ゲーブル」
まずは『機動戦士Zガンダム』より、“野獣”と呼ばれるヤザン・ゲーブルを紹介したい。
褐色の肌に金髪のリーゼント、眉なしツリ目で荒々しい口調など威圧的な要素たっぷりのヤザンは、地球連邦軍の特殊部隊“ティターンズ”の兵士としてカミーユ・ビダンら所属の“エゥーゴ”と対峙する。
第25話「コロニーが落ちる日」にてカミーユのZガンダムとドッグファイトを繰り広げた際には、「ふははははっ! 落ちろぉ!」と、高笑いとともに翻弄し、カミーユに何度も「強い…!」と言わしめた。
カミーユをはじめ、クワトロ・バジーナやエマ・シーンなど、ニュータイプがひしめく戦場を生き抜いてきたことから、ニュータイプではないヤザンを「オールドタイプ最強」と評するファンも多い。
随所で見られる粗暴さとは裏腹に、戦術や政治面での駆け引きにも長けているほか、初陣で緊張している部下の股間を握って檄を飛ばすなど、仲間想いな一面を持ちあわせているのである。
作中では第49話「生命散って」にて覚醒したカミーユと対峙して敗走。続編の『機動戦士ガンダムZZ』にて再登場を果たすが、ジュドー・アーシタのZガンダムによって再び敗走してしまう。しかし、いずれも肉体へのダメージを避け五体満足で撤退していることから、その判断力の鋭さが伺える。
その後は漫画作品『機動戦士ガンダムMSVーR ジョニー・ライデンの帰還』にてヴァースキ・バジャックとして登場し、在りし日のヤザンを彷彿とさせる“野獣”の一面を覗かせながら、再び戦場に現れるのだ。
『Z』・『ZZ』を通してヤザン・ゲーブルとしては結果的に敗北続きとなってしまったが、漫画にてヴァースキと名を変え再び戦場に舞い戻ったヤザン。主人公サイドとは敵対する存在であるものの、その生きざまを見ていると活力が湧いてくるような、魅力に溢れたキャラクターである。
■爽快感を感じてしまうほどの暴れっぷり!「ギム・ギンガナム」
続いて『∀ガンダム』に登場した、“月のサムライ”ことギム・ギンガナムを紹介したい。
武に精通したギンガナム家の末裔であり、ギンガナム艦隊の総大将を務めるギンガナム。その気性の粗さを危惧したディアナ・ソレルの采配によって、望んでいた戦争の機会を奪われたことから反旗を翻し、世界征服に乗り出すこととなる。
ギンガナム艦隊は2500年もの間軍事訓練を続け武を磨いてきただけに、艦隊を指揮するギンガナムはとにかく戦闘意欲が高く、世界が再び戦火に包まれることに高揚して高らかに笑い出すシーンも見受けられた。第38話においてはそのタイトルが「戦闘神ギンガナム」であるほどに、闘いそのものを司どるキャラクターとなっているのだ。
愛機となったターンXでの戦闘時には、「シャイニングフィンガーとはこういうものかぁ!」「このターンXすごいよぉ!」「月光蝶である!!」など、その戦闘力の高さに喜びを覚えたり力を誇示する様子が多く見られ、その言い回しも含めて視聴者に強烈な印象を残している。
とにかく自分勝手に闘いを楽しむ様子は、まるで子どもがおもちゃで遊んでいるような無邪気ささえ感じさせ、『ガンダム』関連作品においてもどのような名言が飛び出すのか期待されるほど、ファンに親しまれているキャラクターだ。