『SLAM DUNK』に『あしたのジョー』、『タッチ』も…終わり方に感動した往年の少年スポーツ漫画3選の画像
『THE FIRST SLAM DUNK』(C)I.T.PLANNING,INC.(C)2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners

 名作スポーツ漫画は、その終わり方も素晴らしい。衝撃的な第1話からはじまり、数々の熱い試合や感動的な人間ドラマが描かれ、そして、多くの読者を感動させる最終回を迎える。最終回とは、作者にとってはその作品の集大成であり、読者にとっては寂しいながらも思い出深い1話となるのだ。

 そこで今回は、終わり方に感動した少年スポーツ漫画3選を紹介する。いずれも漫画史に残る見事なエンディングばかりだ。

■激闘の山王戦から一転…『SLAM DUNK』

 1990年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載された井上雄彦さんの『SLAM DUNK』。その終わり方は感動的で、そして多くの読者に衝撃を与えた。

 インターハイ2回戦、絶対王者・山王工業相手に、主人公・桜木花道のいる湘北高校は残り数秒で逆転のカウンターを仕掛ける。

 しかし、河田と沢北にブロックされてしまう流川。あわや試合が終わってしまいそうなところで、作中で初めてエースの流川楓が桜木にパスを出す。それを受けた桜木が「左手はそえるだけ…」とつぶやき、見事シュートを決めるのだ。2万回の練習を繰り返したジャンプシュートが、湘北に逆転勝利をもたらしたのだった。

 そして最終回では、桜木と流川がタッチを交わす場面から始まる。そして、メンバー全員で勝利を喜び物語が最高潮に達したところで、唐突に次の3回戦で湘北高校が愛和学院にボロ負けしたことだけが伝えられた。

 “愛知の星”と称される愛和学院の諸星大とは、いったいどんなプレーをする選手だったのだろうか。全国には、その諸星を窮地に追いやった森重寛、大阪の土屋淳にモヒカンのスティーブ・大滝など、まだまだ気になるキャラがたくさんいた。しかし、あまりにも呆気なく湘北高校のインターハイは終了してしまう。

 場面は変わり、宮城をキャプテンに新体制で動き始めた湘北高校バスケ部の姿が。流川は全日本ジュニア合宿に呼ばれ、そして、海辺の施設で痛めた背中のリハビリをしているらしい桜木の様子が描かれていた。

 少し伸びた桜木の髪からインターハイからの時間の経過や、白衣を着た女性の「今日はちょっときついわよ」という言葉から怪我の深刻さも伺えた。

 この海辺のシーンを最後に物語は終了してしまったので、その後、桜木がどうなったかは知ることはできない。しかし、ラスト1コマ「天才ですから」という彼の言葉によって、読者の多くが「きっと大丈夫だ」という気持ちになったことだろう。

 正直、読者の多くが「まだまだ『SLAM DUNK』を楽しみたかった」というのが本音だろう。しかし、この潔い感動的な最終回は非常に印象的で、時代を超えてなお語り継がれる名作となったことも事実だろう。

■燃え尽きた…真っ白な灰に…『あしたのジョー』

 1967年から『週刊少年マガジン』(講談社)にて連載された、原作:高森朝雄(梶原一騎)さん、作画:ちばてつやさんによる『あしたのジョー』は、その衝撃の結末から社会現象をも引き起こした。

 日本武道館でおこなわれた、ホセ・メンドーサとの世界バンタム級タイトルマッチ。試合は最終15ラウンドまで続き、激しい撃ち合いの末、判定へもつれこむ。

 労う丹下段平に、ジョーは「燃えたよ…まっ白に…燃えつきた…まっ白な灰に…」と語る。そして、リングサイドへ戻ると「あんたに…もらってほしいんだ」と、それまで着けていたグローブを葉子に渡した。ここで何かを察したように愕然としている葉子の表情が忘れられない。

 緊張のなか、レフェリーが読み上げた判定はホセ勝利。惜しくもジョーはチャンピオンにはなれなかった。一方、防衛に成功したホセも、全ての力を出し切ったようで喜ぶことさえできないでいた。そして誰もが知る最終回最後の1コマ……。燃え尽き真っ白な灰になったジョーの姿で、『あしたのジョー』という物語が終わる。

 この有名な最終回、原作者である梶原さんが当初用意していたシナリオでは、ジョーが勝利し、パンチドランカーになったジョーが日なたぼっこして終わるというものだったということが、のちのインタビューにて明かされている。

 それに対し作画のちばさんは、ジョーには負けがふさわしいと提案していたようだ。さらにそこに編集のアイデアなどが加わり、この漫画史に残る最終回が誕生したと言われている。

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