■不気味な敵キャラの数々『デビルマン』
1972年(昭和47年)放送、永井豪さん原作の『デビルマン』。日本における元祖ダークヒーローというべき作品だ。正義の心で愛する者のために悪魔・デーモン族と戦うデビルマンだが、当初の目的は違った。
第1話「悪魔族復活」にて。雪山の登山客を皆殺しにしたデビルマンは、その一人の体を乗っ取り、人間界を滅ぼすために青年・不動明として生活していく。デビルマンに乗っ取られた明は、表情や性格も変わり乱暴な青年になっていた。それは主人公の魅力の1つではあるのだが、子ども心に恐怖心を煽られたものだ。
また本作は、敵のビジュアルも非常に恐ろしくインパクトが大きかった。悪魔王ゼノンや魔将軍ザンニン、妖将軍ムザンなど敵幹部はもちろんだが、各話に登場する一般兵も不気味なビジュアルだ。
とくに第6話「ロクフェルの首」に登場した妖人ロクフェルは痛烈に覚えている。頭蓋骨から復活したロクフェルは巨大化し、黄土色の鱗に覆われた体に長く伸びた首はまさにトラウマレベル……。
さらにこの回は、随所に映画のようなホラー演出がされており、鳴る壁掛け時計、揺れるカーテン、背後から忍び寄る何者か……などなど、今見てみると、作り手の大人たちが本気で子どもたちを恐怖させようとした回のようにも思えてしまう。
今回は、40代・50代が幼少期に見て怖かった昭和アニメのトラウマ描写を紹介してきた。いずれも恐怖心から忘れられないものであり、今見ても十分怖かった。
現代ではいろいろと規制がかかり、ここまで怖いアニメはテレビではなかなか放送できないだろう。ゆえに、独特の怖さがあった昭和のアニメは、大人になった今でも忘れられない思い出として残っているのかもしれない。