■意外と好きな人も多い?「献血」
マスオの持つ変わった趣味の一つが、献血である。原作漫画(朝日文庫版33巻)では、そんなマスオのやりすぎ献血エピソードが描かれていた。
マスオはある日意気込んで献血へいくが、意気込みすぎて会場をはしごし、大量の献血を行ってしまう。フラフラな足つき、虚ろな目で帰宅したマスオは貧血で倒れ、サザエにあきれられてしまうのだった。
現実世界でも献血が趣味という人は一定数いるのだが、読書にしろバイオリン教室にしろ、ハマったらとことん熱中するタイプのマスオの場合は、どうもやりすぎる傾向がある。厳密にいえば献血は身分確認のデータが共有されるため、はしごをしようとしても断られてできないだろう。だが、このエピソードで見せたマスオの命がけの社会貢献には驚きを隠せない。
また、1992年に刊行され200万部を超えるヒットを記録した書籍『磯野家の謎「サザエさん」に隠された69の驚き』でも紹介されているが、原作初期にはマスオの「著名人の収入を計算する趣味」が描かれている。『宮本武蔵』を読んで作家・吉川英治の印税を計算したり、アイドルの歌謡ショーの現場にいる客を観察してソロバンを弾いたりと、これはマスオのビジネスマンとしての隠された一面かもしれない。
マスオは変わった趣味をたくさん持っているが、実は特技もかなりすごい。たとえば、彼は頂き物の饅頭の中身を開封せずに当てることができる。もはやこれは特技というより超能力の域。磨けば、不審物の中身も当てられるようになるはずだ。
さらに、人間離れしているのがフライパンを返す時にバク宙する特技も持っている。ホットケーキだったりオムレツだったりと中身はなんでもOK。助走もつけずにその場でバク宙を決め、料理を一切こぼさず完璧にキャッチするその姿を見た視聴者からは、「凄すぎて笑った」といった声が絶えなかった。
時折、登場キャラクターたちの意外すぎる姿が披露される『サザエさん』。日曜夕方にいつものように番組をつけていると、ふとした瞬間に驚きのシーンが挟まれる。今年で放送から55周年を迎えるが、マスオさんだけでもまだまだ知らない表情があるのかもしれない。