■「おまえが好きだ~」彼女への熱い想いを歌に…
そして昔の少女漫画には、男性が女性への熱い想いを歌詞にして歌うシーンも多かった。
池野恋さんの『ときめきトゥナイト』第一部では、主人公の江藤蘭世に想いを寄せる筒井圭吾が、みんなの前で作詞作曲した歌を披露するシーンがある。
そこで圭吾が歌った曲の歌詞は「LaLaLa Lonely Heart せつないほどにもどかしくて ただ…恋しくて」という、蘭世への届かない熱い想いを綴ったものだった。これを聴いたプリンス・真壁俊が、ちょっと嫉妬するようなシーンへと続いていく。
また、80年代に人気を誇った、原作:後藤ゆきおさん、作画:牧野和子さんによる『ハイティーン・ブギ』でも、熱い想いを歌に秘めて披露するシーンがよく登場していた。
とくに不良からロックスターへと成長した主人公の藤丸翔が、恋人である宮下桃子への想いを歌うシーンは印象的だった。しかもその歌詞は、当時連載中に読書から応募された歌詞を引用していたという。
作中では「詩は『まぶしいおまえ』静岡の◯◯さんでした。ありがとう」といった紹介も掲載されている。
今でもラブソングは人気だが、人気ミュージシャンのラブソングを一緒に聴くといったことが一般的だろう。昔の場合、彼女だけに捧げる曲を作り、彼女の目の前で披露しているのが特徴だ。
こうしてみると、昭和の愛情表現はとても派手で目立つものが多い。海岸沿いを裸足で走ったり、バラの花を贈ったり、彼女に捧げる曲を作ったり……。今の時代ではちょっと恥ずかしい行動かもしれないが、男性が一生懸命彼女にアプローチしていた時代とも言えるだろう。
時代の流れとともに、愛情表現は変わっていく。たまには昔の少女漫画を読んで、昔懐かしい恋愛シーンを堪能してみるのもおススメだ。