『ガラスの仮面』に『ときめきトゥナイト』、『悪魔の花嫁』にも…昭和の少女漫画に見られたラブラブ定番シーンはどんなだった?の画像
『ときめきトゥナイト』 DVD-BOX

 近年の恋愛定番シーンといえば、スマホで恋人同士がラブラブの文章を送ったり、寄り添ってデートをしたりすることが多いだろう。いずれもごく自然な恋人同士の行動と言えそうだ。

 しかし昔の少女漫画における恋愛表現は今とはだいぶ違う。なぜか裸足で海辺を走ったり、好きな女性にバラの花を送ったりするのが定番だったのだ。ここでは、ひと昔前の少女漫画に多く登場した、“昔ならでは”の恋愛シーンを紹介したい。

■海で走る2人、水着の彼女をまぶしいや…と眺める男

 まず、昔の少女漫画やドラマに多く登場した水辺のシーンを紹介したい。

 王道少女漫画で今でも確固たる人気を誇る、美内すずえさんの『ガラスの仮面』にも海岸シーンが登場する。主人公の北島マヤが人気俳優の里美茂と恋に落ち、海辺へとデートに向かう場面だ。

 砂浜で、「靴とっちゃうぞ」「きゃっ!」「まってまって!」と、海岸沿いをイチャつきながら走る2人。突如立ち止まった茂にマヤがぶつかった途端、茂は「そらつかまえた」と言い、マヤの手をしっかり握るのであった。

 このシーンは、読んでいるこちらが赤面してしまうようなイチャつきっぷりだ。思えば海岸を裸足で走るカップルというのは、昭和では王道のラブラブシーンだったように思う。

 さらに水辺でのカップルシーンはプールでも登場する。娘を心配するあまり過激な行動に出る父親のギャグ漫画、岡田あーみんさんの『お父さんは心配症』では、娘の典子がプールで水着姿になるシーンがある。

 それを見たBFの北野は「典子…キミの水着姿とってもまぶしいや…へへ…」と言ってご満悦。もちろんこの後、典子の父である光太郎からキツイお仕置きを受けてしまうのだが……。

 昭和後期のバブル時代はトレンディドラマも多く、ハワイやホテルのプールで男女が出会うようなシーンもよく見られた。美しい女性が登場すると、今回の北野のように女性を褒めたたえる熱いセリフを口にしている俳優の姿もよくあった。昔のカップルシーンに、水辺は欠かせなかったと言えよう。

■好きな人へのプレゼントといえば…「バラの花」

 昔の少女漫画やドラマで多かったのが、好きな相手にバラの花を贈るシーンだ。たとえば原作:池田悦子さん、作画:あしべゆうほさんによる漫画『悪魔の花嫁』でも、バラの花を贈るシーンが多く登場する。

 第26話「バラの影」ではバラの温室に住む謎の美少年が登場し、女性にレッド・デビルという真っ赤なバラを1輪捧げているし、さらに52話「タロットは知っている」では、ロックスターの男が舞台上から愛する女性に1輪のバラを投げるシーンもあった。

 思えば、昭和の時代は愛する人に贈る花はバラといったイメージも強かった気がする。ただし『悪魔の花嫁』ではバラを贈った本人や相手が、悪魔のデイモスの策略によって不幸になってしまうパターンが多かったのだが……。

 そしてバラの花を贈る漫画といえば、またまた『ガラスの仮面』だろう。大手芸能事務所社長・速水真澄は、マヤのことをずっと想いながらもその立場やプライドが邪魔して告白できない。その代わりマヤの舞台があるたびに紫のバラを送り続け、“あなたのファンです”と手書きのメモを添え、素性を明かさなかった。

 好きな相手にバラの花束を贈ることは、言葉に出せない特別な想いを表現する方法とも言えそうだ。

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