■鳥と暮らすって、こういうことです!
続いて、鳥がメインの漫画。
「愛鳥週間」は野鳥のためのものだが、“コンパニオン・アニマル”として人間と暮らす鳥も多い。そんな鳥たちと“鳥沼”にハマった人間たちの生態を描いた漫画が、空廼カイリさんの『鳥ジャンキーズ』(マッグガーデン)だ。
カバー折り返しには「鳥の匂いはクセになる、鳥飼い・鳥好きの間では常識でも、知らない人にはなかなか伝わらない歯がゆさから生まれたこの作品」とあり、これだけでも鳥好きはそわそわすることだろう。
本作には、鳥に詳しい人なら誰でもクスッとなる“あるある”や、鳥との暮らしから得られる喜びと癒しがふんだんに込められている。同時に、大変なことや我慢しなければならないことも分かりやすく描かれているため、鳥との暮らしに興味がある人にはぜひ読んでもらいたい作品だ。
■新しい趣味にバードウォッチングはいかが?
最後に、少しでも鳥に興味があり、なおかつ新しい趣味を探しているという人には、わらびもちきなこさんの『しあわせ鳥見んぐ』(芳文社)をお勧めしたい。鳥見、つまりバードウォッチングを題材に、女子大生たちの交流をゆるく描いた作品だ。作品の舞台は東北だが、都市部でも見られる野鳥は多いため、住む場所を問わずどこでも楽しめる趣味かと思う。
本作では、身近な鳥の特徴や習性の紹介をはじめ、基本的な鳥の観察方法や識別方法までしっかりと描かれている。また、渡り鳥を見るために少し遠出をするワクワク感や、その先で鳥たちが見せてくれる美しい風景など、モチベーションを上げる要素も十分だ。バードウォッチングの入門書としては最高の作品ではないだろうか。
そして愛鳥家としては、観察する側の視点だけでなく、人間という外敵から見つめられる鳥側の視点に立ったエピソードが描かれているのも嬉しい。人と鳥、互いに近いところにいるからこそ、良い距離感を維持していきたいものだ。
私たちの身近な存在である鳥、それなのにあまり知られていない魅力。「愛鳥週間」を機に、ゴミをあさるカラスでも、そこらへんを歩いているドバトでも、ちょっと目を向けてみてほしい。実はあなたが思う以上に面白い生き物かもしれない。