■「謎を解けるか。1億人。」「常識があぶない」

 最後は、1986年に発売されたビートたけしさん監修によるファミコン用ソフト『たけしの挑戦状』のキャッチコピー。ゲームのパッケージ表面には「常識があぶない。」とあり、雑誌などの広告には「謎を解けるか。1億人。」という文句が書かれていた。

「常識があぶない。」というキャッチコピーの通り、ゲームの当たり前を覆す前衛的で斬新なゲームとして、瞬く間に世間を騒がせた同作。たとえば、スナックのイベント攻略のためにIIコンのマイクを使ってカラオケを歌う、宝の地図を開くためにリアルに1時間待つなど、理不尽で不条理なゲーム内容が話題を呼んだ。

 その内容があまりに過激だったため、ゲームバラエティ番組『ゲームセンターCX』でのインタビューで明かされた話によると、ゲーム攻略本を出版した太田出版が、最初のうちは客からの電話質問に対応していたものの、後に疲れ果てて「担当者は死にました」と嘘を言って逃げたという逸話まである。

 当時、攻略情報なしでゲームをクリアできた人は果たしてどれだけいたのだろうか。まさにタイトルと「謎を解けるか。1億人。」というキャッチコピーの通り、ビートたけしさんからの「挑戦状」である本作。その内容のすさまじさも含め、後世にまで語り継がれる一本だろう。

 ファミコン時代には、秀逸なキャッチコピーが子どもの心を掴んで離さなかった。その魅力的な言葉は、ゲームの世界へのワクワク感をさらに高め、想像力を刺激するものばかり。ファミコン時代のキャッチコピーは、単なる広告文ではなく、私たちのゲーム体験を豊かにしてくれたのだ。

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