■『マインドシーカー』をクリアした男に超能力はあったのか?
しかし仲間内で1人だけ、このゲームに執念を燃やし続けた人物がいました。彼は、仲間たちが興味を失ったあともクリアを目指し、ひたすら『マインドシーカー』をプレイ。そしてあるとき、衝撃的な報告を受けることになります。
「クリアしたよ」
「マジで!」
彼は、地道にガチ抽選の「当たり」を探し続け、ゲームを少しずつ進行し、どうにかラストイベントまで到達。それだけでもとんでもない労力ですが、そこには「最大の壁」が待ち受けていたそうです。
ラストイベントのクリア条件は、まず「第一の扉の前で、念力を40回中24回以上成功させる」。次に「5つの扉の中から正解である第二の扉を選ぶ」。そして、再び「念力を40回中24回以上成功させる」というもの。
プレイしたことがない人には、この難度が伝わりにくいかもしれませんが、そもそもファミコンのボタンで「念力」を伝える難しさから推察していただければ……と思います。
彼は何度も何度も何度も何度も挑戦して、このラストイベントは到底まともにクリアできるシロモノじゃないと悟ったそうです。では、最終的に彼はこの難問をどう解決したのか?
「連射パッドのボタンに重しを置いて、放置した」
つまり、試行回数の多さで運を打倒したわけです。彼がどのくらいの時間、放置していたのかは忘れてしまいましたが、「すげえ……」と驚嘆したことはよく覚えています。
そんな『マインドシーカー』が発売されたのは1989年4月18日。日本のゲーム史において、超能力開発をうたったゲームは、今日までこの作品のみです。その意味でも、このタイトルは“伝説のゲーム”と言えるかもしれません。
もっとも、ドット絵で描かれたカードの裏側に、実際に何かのマークが描かれていたわけではありませんから、仮に透視能力を持っていたとしても、テレビ画面の向こう側に見えるのは「ブラウン管」だったんですよね……。